空の安全願う 日航機墜落事故39年、遺族ら230人が慰霊登山
毎日新聞 / 2024年8月12日 17時18分
乗客乗員520人が犠牲になった日航ジャンボ機墜落事故から39年となった12日、現場となった群馬県上野村の「御巣鷹(おすたか)の尾根」には230人(午後4時現在)の遺族らが慰霊登山に訪れ、思い思いに祈りをささげた。
尾根に建つ「昇魂之碑」の前では、遺族らがシャボン玉を飛ばしたり、安全の鐘を鳴らしたりして空の安全を願った。
甲府市から来た若月明子さん(60)は、高校時代の同級生だった富田真理さん(当時21歳)を思いながら山を登った。野球部のマネジャー同士として仲良くなり、事故の6日前に「また会おう」と話したばかりだった。
「とても明るく、よく笑う子だった。野球部の後輩からも慕われて、恋愛相談も受けていた」と懐かしむ。銘標に手向ける花束と手作りのリースを手に、「友達の近況を報告したい」と笑顔で語った。
兵庫県西宮市の自営業、小西正明さん(69)は、エンジニアだった父の義員(よしかず)さん(当時58歳)を亡くした。「家で製図などの仕事をする半面、子どもにマージャンを教えて一緒にやるような少し変わった人だった」
慰霊登山は9回目。つえを片手に汗だくになりながら、父の銘標を訪れた。父が好きだった日本酒をかけて手を合わせた。「今年も不幸なく過ごせた。また来年くるぞ」と話した。
慰霊登山には別の事故や事件、災害の遺族らも訪れた。2016年に相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で利用者ら45人が殺傷された事件で、娘の美帆さん(当時19歳)を失った女性(61)は3回目の慰霊登山だといい、「御巣鷹は大切な人に近づける場所。いつもより美帆を近くに感じる」とほほ笑んだ。【加藤栄、日向梓】
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