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日本の航空機の父・二宮忠八の「不屈の人生」がミュージカルに

毎日新聞 / 2024年8月16日 16時39分

「玉虫型飛行器」の再現模型に見入る外国人観光客=千葉県芝山町で2024年6月12日午前10時49分、合田月美撮影

 「自分を信じることは自分にしかできない」。米国のライト兄弟が有人飛行する12年前に模型飛行機で人類初の動力飛行に成功した二宮忠八(1866~1936年)は、「日本の航空機の父」と呼ばれる。その不屈の人生に光を当てるミュージカル「二宮忠八 希望の翼」が、古里の愛媛県八幡浜市で24、25日に上演される。

 二宮は陸軍入隊後の1889年、昼食をとっている時に、カラスが翼を固定して滑空するのを見て飛行の法則を発見。聴診器のゴム管を動力にした模型「烏(からす)型模型飛行器」を発明し、91年春の実験で10メートルの飛行に成功した。93年にはタマムシの飛び方を参考に、プロペラを機体後部に配置し、翼が上下に二つある有人機「玉虫型飛行器」を完成させた。その後、飛行機の設計図を作製して陸軍に開発援助を求める上申書を何度も提出したが、ことごとく却下された。

 軍籍を離れた後は製薬会社を設立するなど事業を手がける傍ら、独自に飛行機の開発を続けた。しかし1903年、ライト兄弟による「人類初の有人動力飛行」のニュースに打ちのめされ、開発を断念した。二宮の動力飛行研究は2023年、一般社団法人「日本航空宇宙学会」(東京都)の「航空宇宙技術遺産」第1号に認定された。

 ミュージカルは「希望」をテーマに、二宮の人生を描く。上演するのは、八幡浜市民有志による「八幡浜ミュージカル劇団」(庄野梢江代表)だ。脚本や演出などを手がける大杉良さん(51)=東京都=は「二宮の不屈の精神の背景には、いつも『希望』という心の支えがあった」と話す。二宮の幼少期を演じる同市立川之石小4年、畑中一花(いちか)さん(9)は「自分を信じる忠八さんを大きな声で演じたい」と抱負を語る。

 ミュージカルは、二宮と同様に同市名誉市民の建築家・松村正恒の生涯を描いたオリジナル作「歓声がこだまする学校」との2本立て。同市民文化活動センター忠八ホールで24、25の両日とも午前11時と午後3時の2回公演。前売り券は大人2000円、中学生以下1000円(当日は各500円増)。問い合わせは同劇団(yawatahamamusical@gmail.com)。【松倉展人】

千葉では「二宮忠八の飛行器展」

 成田空港に隣接する航空科学博物館(千葉県芝山町)では、二宮の業績を紹介する企画展示「二宮忠八の飛行器展」が31日まで開かれている。

 展示の目玉は、二宮が考案した全長4・7メートル、全幅9メートルの「玉虫型飛行器」の実物大再現模型だ。同館によると、20年ほど前に八幡浜市から寄贈され、大切に収蔵されてきた。今回は二宮の生涯を伝えるパネルや、二宮が描いた図案などと合わせて展示している。

 同館の今野友和・学芸課長は「来訪者の大多数は二宮を初めて知るようですが、実物大の翼に『面白い形だね』『可愛いね』と、それぞれに発見があるようです。素晴らしいアイデアを考え出した二宮をこの機会に知っていただければ」と話している。

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