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小児看護学び、母国へ シエラレオネの8看護師、大阪の病院を視察

毎日新聞 / 2024年8月18日 10時37分

大阪赤十字病院の看護師らによる会議を視察するシエラレオネの看護師、ベッツィー・ディーンさん(左端)ら=大阪市天王寺区で2024年7月22日午後1時47分、郡悠介撮影

 「なんて可愛いベイビーなの」――。大阪市内の病院の一室で7月下旬、黒人男女4人が生後1カ月の乳児を囲んでいた。乳児が短い腕を伸ばすと、男性がその小さな手を優しく握り笑みをこぼした。彼らは日本の小児看護を学ぶため、約1万4000キロ離れた西アフリカ・シエラレオネからやって来た看護師たちだ。【郡悠介】

「業務整然」に感心

 これは国際協力機構(JICA)が実施する研修事業の一つ。計8人が2週間滞在し、大阪赤十字病院(大阪市天王寺区)で子どもの看護現場を視察した。

 シエラレオネは大西洋に面する沿岸国で、大きさは日本のおよそ5分の1(約7万平方キロ)。1991~2002年に続いた内戦などで社会・経済的に大きな打撃を受け、最貧国の一つとされる。

 保健医療でも劣悪な状況が続き、5歳に満たない子どもの死亡率が世界ワーストの水準だ。背景には、妊婦のマラリア感染や貧血、栄養不足によって未熟児が生まれやすいことに加え、出産前後の医療ケアが不十分であることなどが挙げられる。

 首都フリータウン市には重篤な子どもを治療する国内唯一の第3次小児専門病院があった。だが建物の老朽化や設備不足により、一つの病床に複数人が寝たり、停電が起きたりするなど、提供できる医療の質がとても低かったという。

 そこでJICAが無償資金協力で同市に新しい子ども向けの病院を建設、今年6月に開院した。施設面だけでなく職員の技術向上も図ろうと、新病院で働く看護師たちを大阪赤十字病院に招いた。

 ご飯の食べさせ方、注射時などに暴れる子どもの固定方法、父母とのコミュニケーション――。8人は期間中に院内でさまざまな小児看護の現場を巡り、日本の看護師に質問も投げかけながら基礎から応用まで学んだ。

 看護師の一人、ベッツィー・ディーンさん(54)は「日本ではあらゆることがマニュアルで決められ、業務が整然とされていた」と感心し、「帰ったら他の同僚に共有する。日本には感謝していて、母国でもっと良い看護ができるよう頑張りたい」と意気込んだ。

 新病院からは来年も別の看護師らが大阪赤十字病院を訪れて研修する予定という。

 8人の対応にあたった同病院国際救援課の池田載子課長(58)は、看護の専門家としてシエラレオネへ繰り返し派遣された経験を持つ。池田さんは「現地では新しい医療資機材を簡単に買えないが、看護はちょっとした工夫の積み重ねで質を上げられる。少しずつでいいので、日本で見たことを新しい病院で生かしてほしい」と期待している。

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