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「原爆の図」丸木位里の家族らの遺影登録 広島追悼平和祈念館

毎日新聞 / 2024年8月28日 15時30分

丸木スマさんの肖像画=国立広島原爆死没者追悼平和祈念館提供

 共同制作した連作「原爆の図」で知られる画家の丸木位里(いり)(1901~95年)・俊(とし)(赤松俊子、12~2000年)夫妻。国立広島原爆死没者追悼平和祈念館(広島市中区)は27日、位里の母で画家のスマさん(1956年に81歳で死去)、父金助さん(46年に73歳で死去)、妹で画家の大道あやさん(2010年に101歳で死去)の遺影を登録したと発表した。

 同館などによると、3人は1945年8月6日、爆心地から約2・2キロの三滝町(現在の同市西区)の自宅で被爆した。スマさんは70歳を過ぎてから俊の勧めで絵筆を手にして動物や花など700点以上を残し、被爆直後の光景の作品も描いた。大道さんは絵本作家としても活躍。91歳で初めて被爆体験の絵を描き、絵本「ヒロシマに原爆がおとされたとき」として出版した。

 原爆投下時、位里と俊は東京におり、数日後に広島に入った。「原爆の図」の制作では、大道さんらの体験談も参考にしたという。

 位里と俊の遺影は2017年に同館に登録されている。今回登録された3人のうち、スマさんと金助さんの遺影は俊による肖像画で、1942年と43年にそれぞれ描かれた。提供した2人の孫の妻・丸木常緑子(ときわこ)さん(79)=同市西区=は「表情がよく描かれている。大変な時代を生き抜いた彼らの遺影を多くの人に見てもらい、戦争のない平和な世界を望んでほしい」と話す。

 また同館は7月、動物ものまね芸で人気を博し、俳優としても活躍した三代目江戸家猫八さん(2001年に80歳で死去)の遺影も登録した。孫の五代目江戸家猫八さんが遺影を提供した。

 同館によると、猫八さんは旧陸軍船舶司令部(暁部隊)船舶砲兵第一連隊に所属。原爆投下時は宇品町(現同市南区)で被爆し、爆風で数メートル吹き飛ばされたという。その後、市内の惨状を目の当たりにしながら遺体の処理や家屋の下敷きになった人々の救出活動などにあたった。

 1981年の独演会で初めて人前で原爆について話し、「被爆の話をするのはつらい。しかし、人に伝えていくのは、原爆の光を見て、今も命をもらって生きている人間の務めではないかと少しずつ思えるようになった」と語ったという。

 遺影は地下2階の遺影コーナーの大型モニターに映し出されるほか、館内の検索端末で被爆状況などとともに閲覧できる。

 平和記念公園にある原爆慰霊碑の石室に収められている原爆死没者名簿には34万4306人が記載されているが、同館に登録されている名前と遺影は2万7823人(26日時点)にとどまる。同館は登録を呼びかけており、問い合わせは(082・543・6271)。【根本佳奈】

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