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神風連資料館、9月2日に閉館へ 志士の子孫ら「寂しい」 熊本

毎日新聞 / 2024年8月28日 17時55分

9月2日で閉館となる神風連資料館=熊本市中央区黒髪で2024年8月16日午後1時51分、中村敦茂撮影

 1876(明治9)年に熊本で起きた明治新政府に反対する士族による「神風連(しんぷうれん)の変(乱)」を伝える熊本市中央区黒髪の「神風連資料館」が資金難のため9月2日で閉館する。主な史料は市の熊本博物館に引き継がれる見通しだが、関係者からは惜しむ声が上がる。

 資料館は1978年に作家の故荒木精之(せいし)らが中心となり開館。桜山神社の境内にあり、神風連(敬神党)やその母体となった肥後勤王党の関連史料約500点を所蔵、うち約120点を展示している。廃刀令に異議を唱えた奏議書や志士の遺書、蜂起の際に身につけた甲冑(かっちゅう)など貴重な品が並ぶほか、絵や説明板で神風連の思想や時代背景を紹介している。

 運営する一般財団法人によると、設立時の基金の利息や入館料などで経費を賄ってきた。しかし金利低下などで赤字が続き、基金を取り崩す状態となっていた。年間500~600人ほどで推移する来館者の大幅な増加も見込めず、6月の理事会で閉館を決めた。

 収蔵史料は熊本博物館へ寄贈する方針で、同博物館は1次史料を中心に受け入れる方向で調整している。残りは桜山神社へ贈与する予定。理事長の湯田栄弘(しげひろ)さん(加藤神社名誉宮司)は「史料の散逸や傷みを避けねばならない。神風連の精神を残していくため、やむにやまれず判断した」と語った。

 志士の遺族らは閉館を嘆いた。神風連の愛敬正元の子孫にあたる熊本県合志市の自営業、愛敬俊宏さん(46)は「近くを通るたびに来ていたので寂しい。日本文化を大事にしたい思いは自分も同じ。(史料が博物館に移っても)当時の人々の心意気を後世に伝えてほしい」と話した。

 資料館近くの主婦、宮部洋子さん(80)は父が肥後勤王党の宮部鼎蔵について熱心に調べていたという。「明治の歴史に触れられる場所でした。残念です」と話した。

 資料館は9月2日まで開館(台風10号のため30日は休館)。午前10時~午後4時半。入館料は一般300円など。【中村敦茂】

神風連の変(乱)

 1876(明治9)年10月、明治新政府の急速な欧化政策に反対し、太田黒伴雄を首領とする敬神党(神風連)の志士らが蜂起。熊本城に置かれた熊本鎮台を襲撃し一時占拠したが、政府軍により鎮圧された。党員123人が戦死や自刃、刑死したとされる。後に続く秋月の乱(福岡県)や萩の乱(山口県)に影響を与えた。

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