兵庫知事 “20m歩かされ激怒”は「注意した」「当時は適切だと」
毎日新聞 / 2024年8月30日 15時40分
兵庫県の斎藤元彦知事は30日、職員へのパワーハラスメントを含む多数の疑惑を文書で告発された問題を巡り、県議会調査特別委員会(百条委)の証人尋問に初めて出頭した。斎藤氏は一部のパワハラ疑惑を巡る状況を聞かれ、「強く注意したことは間違いない」と述べた。
元県西播磨県民局長の男性(7月に死亡)が3月に配布した告発文書などによると、斎藤氏は県立考古博物館(播磨町)に公用車で出張した際、周辺に車止めがあったため、20メートルほど手前で降車して歩かされたことに腹を立て、職員らを怒鳴ったとの内容があった。
斎藤氏は当時の状況について「職員が車止めを取り忘れていたと思ったので注意した」と説明。施設で会議の開始時間が迫っていたとして「大きな声で伝えた。歩かされたことに怒ったわけではなく、動線が円滑に確保されていなかったためだ」と語った。
施設前の通路は車両の進入が禁止されている。斎藤氏は「当時はそのように認識していなかったので、私の認識は適切だと思っていたが、今考えると申し訳なかった」と釈明した。
一連の問題を巡っては、元局長が斎藤氏のパワハラを含む多数の疑惑を告発する文書を一部の報道機関や県議に配布したことで発覚した。
元局長は県の公益通報窓口にも通報したが、県は通報者への不利益な扱いを禁じた公益通報者保護法の対象外と判断。内部調査を進めた結果、「知事らを誹謗(ひぼう)中傷した」と認定し、元局長を停職3カ月の懲戒処分にした。元局長は7月、県内の親族宅で亡くなっているのが見つかった。自殺とみられる。
斎藤氏はこれまで一貫して告発内容を否定しているが、百条委が実施した県職員アンケートの中間報告では約4割が「知事のパワハラを見聞きした」と回答した。
23日に実施された県職員6人への証人尋問でも、知事から厳しく叱責されたり、その場面を目撃したりしたという証言が相次いだ。「業務上の指導の範囲内だった」とした定例記者会見での知事発言について、「開き直っているような会見で腹立たしい」と述べた職員もいたことが明らかになっている。【郡悠介、大坪菜々美】
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