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「欲望のためだけに…」 遺族が思い打ち明け 群馬3人死亡事故

毎日新聞 / 2024年9月2日 20時4分

家族3人の遺影と愛用していたおもちゃを前に取材に応じる塚越湊斗ちゃんの母親(右)ら=群馬県高崎市で2024年9月2日午後2時14分、加藤栄撮影

 群馬県伊勢崎市の国道17号で5月に、トラックが車2台と衝突し5人が死傷した事故で、塚越湊斗(みなと)ちゃん(当時2歳)ら家族3人を亡くした遺族が2日、毎日新聞などの取材に応じた。飲酒運転が事故原因とみられ、湊斗ちゃんの30代の母親は「お酒が飲みたいという欲望のためだけに3人が死んでいった。そう思うと本当に許せない」と悲痛な思いを打ち明けた。

 事故は5月6日午後4時15分ごろ、伊勢崎市境上矢島の国道17号で発生した。中型トラックが中央分離帯を乗り越えて対向車線にはみ出し、乗用車2台と衝突。湊斗ちゃんと父親の寛人さん(当時26歳)、祖父の正宏さん(同53歳)が死亡した。遺族によると、3人は埼玉県のレジャー施設に出掛け、前橋市と群馬県渋川市の自宅に帰る途中だった。

 事故当日、仕事で一緒に行けない母親に向けて、湊斗ちゃんは「ママ、お仕事頑張ってね。行ってらっしゃい」と声を掛けた。母親は「あれが最後になってしまった」と涙を拭った。父親の寛人さんに似て「優しい子」だったという。

 母親は当時妊娠中で、7月に無事出産したことも明かし、楽しみにしていた寛人さんに会わせてあげられず「申し訳ない気持ちでいっぱい」とも話した。

 事故では群馬県警が8月20日、トラックを運転していた会社員、鈴木吾郎容疑者(69)=同県吉岡町下野田=を自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)容疑で逮捕。県警などによると、トラックは法定速度を大幅に超える時速約90キロで走行していた。鈴木容疑者は乗車前の検査の後に飲酒したとみられ、事故当時は酒気を帯び、車内から焼酎の空容器が2本見つかった。

 湊斗ちゃんの祖母で正宏さんの妻(53)は「3人になんて報告したらいいのか。すごく悔しくて悲しい」と嘆いた。【加藤栄】

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