「加害者の人権守らないと」名芸大学長セクハラ疑惑、報告書開示拒否
毎日新聞 / 2024年9月3日 19時39分
名古屋芸術大(愛知県北名古屋市)の来住尚彦学長(64)からセクハラを受けたと複数の女子学生が訴えている問題で、大学を運営する「学校法人名古屋自由学院」の教職員組合が、学生への説明や調査報告書の開示を法人に求めたのに対し、法人側が「加害者の人権も守らないといけない」などと拒否していたことが関係者への取材で明らかになった。
法人は3月、法人が設置したセクハラ疑惑に関する調査委員会の報告書を受け、「処分するべきハラスメントが行われたとは認定できない」と結論付けた。一方で、報告書では学生に対する一部行為を「セクハラに該当し得る」「不適切」と認定していたことが毎日新聞の取材で判明。学生は法人側に何度も説明や報告書の開示を求めているが、法人側は応じていない。
関係者によると、組合は今年度の職場改善要求項目で、セクハラ疑惑に関し、学生らに報告書を公開、誠実に報告し、厳正な措置をとること▽「おかしい」ことを告発する教員、学生に不利益を与えないこと--などを明記。6~8月の団体交渉の場で法人側の姿勢をただした。
また、法人が設置した調査委が外部の弁護士2人と法人幹部を含む内部メンバー4人で構成していたことから、組合は「内部の人間ばかりで判断すれば当然甘くなる」と問題視し、全て第三者で構成した調査委の設置を要求した。
関係者によると、組合側の要求に対し、法人側は「加害者の人権も守らないといけない」「報告書の開示義務はない」「学生側が対話に応じてくれない」などと回答したという。
法人側が加害者の人権について言及した点について、組合幹部の一人は「組織を守るおかしな発言だ。被害者の学生を直視した対応をしてもらいたい」と憤り、「教職員は良い大学にしようと学生のため一生懸命やっているが、学長らがこのような態度では大学のイメージは落ちて学生募集にも響く」と懸念を示す。
同法人は毎日新聞の取材に「担当者が不在のためお答えできない」としている。【川瀬慎一朗】
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