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援護区域外の一部原告を被爆者認定 手帳交付命じる 長崎地裁

毎日新聞 / 2024年9月9日 14時10分

「一部勝訴」と書かれた紙を掲げる支援者ら。左手前は被爆体験者で原告団長の岩永千代子さん=長崎市で2024年9月9日午後2時21分、金澤稔撮影

 長崎の爆心地の東西約7~12キロで原爆に遭いながら国が指定した援護区域外にいたとして被爆者と認められていない被爆体験者44人(うち4人が死亡)が長崎県と長崎市に被爆者健康手帳の交付などを求めた訴訟の判決で、長崎地裁(松永晋介裁判長)は9日、原告のうち死亡した2人を含む計15人を被爆者と認め、県と市に手帳交付を命じた。

 原告は同種訴訟で2019年までに最高裁で敗訴が確定した後、改めて手帳交付を申請。申請は却下され、却下処分取り消しを求めて再提訴した。被爆者援護法1条3号が「被爆者」と定義する「身体に原爆放射線の影響を受けるような事情の下にあった者」に原告が該当するかが争点だった。

 審理中の21年7月には、広島の援護区域外で「黒い雨」に遭った84人全員を被爆者と認めた広島高裁判決が確定。被爆体験者訴訟の原告は「自分たちも同様に、灰などとして降り注いだ放射性微粒子を呼吸や飲食などで体内に取り込み、原爆放射線による健康被害を受けた可能性が否定できない」と訴えていた。

 一方、法定受託事務として手帳の交付を担っている被告の長崎県と長崎市は「原告が論拠として挙げる調査結果や意見書などは信頼性や正確性を欠く。(原告敗訴が確定した)先行訴訟と異なる判断をすべき事情は認められない」などと反論していた。【尾形有菜、樋口岳大】

被爆体験者

 長崎の爆心地の東西約7~12キロで原爆に遭った人たち。国が指定した援護区域の外だったために被爆者と認められていない。健康診断のみ無料で受けられる第2種健康診断受診者証の所持者が全国に6323人(3月末)。うち精神疾患と関連症状の医療費助成が受けられる被爆体験者精神医療受給者証の所持者が4501人(同)。長崎県内の同受給者証所持者の平均年齢は85・1歳(同)。医療費助成は長らく長崎県内在住者に限定されていたが、23年4月から県外在住者も対象になり、対象疾病にも7種類のがんが加わった。

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