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24歳現役医学部生、プロ棋士に 将棋新四段2人決まる

毎日新聞 / 2024年9月7日 20時55分

奨励会三段リーグでプロ入りを決め、王将駒を手に記念撮影に応じる獺ケ口笑保人新四段(左)と吉池隆真新四段=東京都渋谷区の将棋会館で2024年9月7日、丸山進撮影

 将棋の第75回奨励会三段リーグ戦最終日の対局が7日、東京都渋谷区の将棋会館であり、獺ケ口笑保人(おそがぐち・えほと)三段(24)=15勝3敗=と吉池隆真(りゅうま)三段(19)=14勝4敗=の上位2人が、10月1日付での四段昇段(プロ入り)を決めた。獺ケ口新四段は群馬大医学部4年で、医師と棋士の“二刀流”を目指す。

他人の勝敗見ず 自分の将棋に集中

 獺ケ口新四段は三重県熊野市出身で森信雄七段門下。名前は「笑顔を保つ」という文字通りの意味と英語のエフォート(努力)に由来する。「他の人の成績を気にすることなく、自分の将棋に集中しよう」と、自分がリーグの何番手にいるかは確認せずに今期リーグの半年間を過ごした。

 単独トップで迎えた最終日。「うわさでは自分がトップと聞いていたが、いつも通りに迎えられた。1局目を負けて2局目に向かうに当たってなんとか頭を切り替え、勝つことができた」と話す。

 学業と将棋の両立に苦しんできた。「大学に入るまで2浪したが、将棋の勉強も全然できなかった」。26歳という奨励会の年齢制限が近付き、早起きして将棋に取り組むのを日課にするなど、意識的に時間を作った。

 リーグ1期目の2023年度前期は5勝13敗の最下位。「情けない、勝てる実力を付けたいというつらい経験が棋力をのばしてくれた。二段とは違う雰囲気で苦労したが、弱点がすごくクリアになった」と3期目となった今リーグを振り返った。

 「医師免許も取りたい。一番興味を持っているのは研究分野。何らかの形で医学の研究に携わっていけたら幸せ」。対局の日は前橋市から上京しながら、医師も目指す。“二刀流”を貫く構えだ。

スタートダッシュ成功 伸び伸びと

 吉池新四段は東京都荒川区出身で、室岡克彦八段門下。三段リーグの5期中3期は10勝以上の好成績を収めたが、「毎回スタートダッシュに失敗していた。今期はスタートダッシュに成功したが途中で連敗した。今日は3番手スタートで(四段に)上がれない可能性もあったので、伸び伸び指そうと思った」と笑顔を見せた。

 1学年下の藤本渚五段(19)とは研究仲間として親しい間柄だ。この日も藤本五段が将棋会館に駆け付けて昇段を祝った。「藤本さんはすごく謙虚で優しい。プロの先生と話せる機会がないので、VS(1対1の練習対局)などをしてもらえてうれしい。すぐにでも上に上がって追い付きたい」と喜びを口にした。現役棋士では藤本五段に次いで若い棋士となる。

 室岡八段門下では初の棋士となる。昇段を報告すると「新たなスタートです。棋士としての活躍を期待しています」と激励のメッセージが届いた。「右玉など力戦形を指しているが、人を引き付ける将棋をプロになってからも指していきたい」と、AI(人工知能)だけに頼らない人間らしい将棋を目指す。

 尊敬する棋士に永瀬拓矢九段を挙げ、「研究会に誘っていただき、この1年間はいろんな吸収できるところがあった。その姿を見てここまでになった。永瀬先生のような粘り強く、最後は勝てる将棋を目指したい」と意気込みを見せた。【丸山進】

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