宿泊施設稼働率は12% 能登半島地震復興プラン、初の中間報告
毎日新聞 / 2024年9月10日 9時15分
能登半島地震後の6月に石川県が策定した「創造的復興プラン」に関し、県は9日開かれた専門家会合で、進捗(しんちょく)状況に関する初の中間報告を行った。策定後間もないため、「情報収集中」などの表現も目立ったが、今後も四半期に一度のペースで報告し、実現・具体化を図る。
災害復興支援に関わった経験を持つ専門家10人で構成する復旧・復興アドバイザリーボード会議の第3回会合で報告した。
会合ではまず、被災地の復旧状況を客観的指標として数値で提示。県管理道路の通行止め解除率約84%▽仮設住宅完成率約92%▽医療機関の運営率約97%--など進捗がみられた指標がある一方、事業者の営業再開率約65%▽農林水産施設などの被害査定完了率約28%▽宿泊施設稼働率約12%▽公費解体完了率約10%--など厳しい数値が並んだ。
続いて、能登再建を図るために掲げた主要施策「リーディングプロジェクト」の取り組み状況を示した。目玉政策の「2地域居住モデル構築」については「8月から意見聴取を実施。今後市町とも議論を進める」とした。
持続可能な地域公共交通についても、議論が緒に就いたばかりであることを示した上で、年度内に第1次計画を策定するとした。
活発な議論を進めるためとして、質疑応答は非公開で行われ、県によると、古民家や食、なりわいなど「能登らしさ」「能登の価値」を守る施策を求める意見があったという。【竹中拓実】
復興に関する主な施策の現状=石川県の9日の説明(◆が施策、◇は現状)
◆都市と地方の双方に拠点を構える2地域居住を進め、関係人口を創出・拡大
◇8月から当事者や有識者の意見聴取を実施。今後市町とも議論を進める
◆半島沿岸部を周遊する「能登半島絶景海道」を整備
◇構成路線の応急復旧工事を実施中。引き続き国と連携し、本格復旧を図る
◆集落のオフグリッド化(電力自給)と持続可能な上下水道インフラの整備
◇今後の市町のまちづくり方針と整合を図り、先進技術情報を提供、国と調整
◆利用者目線に立った持続可能な地域公共交通の構築を図る
◇関係者による協議会を8月に設置し、議論開始。年度内に第1次計画を策定
◆教訓を伝える震災遺構を地域資源化し、ユネスコ世界ジオパーク認定を目指す
◇認定に向け準備に着手。デジタルアーカイブも年度内に一部を公開予定
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