日本の市役所職員が2年間暮らして見えた モザンビークの現実
毎日新聞 / 2024年9月11日 9時45分
福岡県小郡市職員の牟田薫さん(50)が、JICA(国際協力機構)の海外協力隊の一員として、アフリカのモザンビークで2022年7月から24年7月まで2年間活動した。8月に市役所に復職した牟田さんは「物が不足していても、現地の人と知恵を出し合い、経験を生かし、事業を進めた。多くのことを学んだ」と2年間の活動を振り返った。
佐賀県みやき町出身の牟田さんは、高校生の時から国際協力に興味があり、いつかJICAの活動に参加したいと考えていた。小郡市役所では都市建設や福祉の部門で働き、福祉課長を経て海外協力隊に応募した。市幹部らは「他の研修ではできない経験」として、2年間の活動に参加できるよう「自己啓発等休暇制度」を設けて応援した。
派遣先はモザンビーク南部に位置するマトラ市役所の廃棄物管理衛生局。現地の職員と共に、学校などを回り、手作りの教材でごみの分別や減量についての環境教育などに取り組んだ。マトラ市の廃棄物処理の5年計画も策定した。
現地の子どもの日にあたる今年6月1日には、日本祭りを開いた。厳しい状況に置かれている親のいない子どもや障害児らを招待し、日本文化を紹介しながら遊んでもらった。ボランティアらと共に、ペットボトルや段ボールなどリサイクルできる物を使っておもちゃを作り、昼食にはカレーを用意した。集まった250人以上の子どもたちは大喜びだったという。
外国人として過ごした現地は、社会保険制度が整っておらず、病院にも行きづらい状況だった。先週会ったばかりの子どもや大人が亡くなることも頻繁にあった。病気になった時には、現地の友人らと互いに支え合った。牟田さんが病気やけがで動けない時は、現地の人たちが食べ物や生活の世話をしてくれた。友人たちが病気の時は、牟田さんがお見舞いに行ってご飯を作った。
帰国した今、モザンビークでの経験を小郡市で生かしたいと考える牟田さん。「いろいろな分野でアフリカと日本・小郡をつないでいけたらと思う。外国人と日本人の交流を進め、外国人にとっても暮らしやすいまちづくりに貢献したい」と語った。【高芝菜穂子】
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