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改善報告書提出後も浸水報告せず うその記載指示も JR九州高速船

毎日新聞 / 2024年9月17日 20時49分

運休となり、博多港に停泊中のクイーンビートル=福岡市博多区で2024年8月13日午後2時52分、長岡健太郎撮影

 博多港と韓国・釜山を結ぶ高速船「クイーンビートル」を運航するJR九州高速船(福岡市)の浸水隠しに対し、国土交通省は2回目となる安全確保命令に加え、安全統括管理者と運航管理者の解任命令まで出して安全軽視の体質改善を迫った。

 クイーンビートルでは2023年2月にも浸水警報が作動。JR九州高速船は船首の亀裂を確認したのに、国交省に報告せず運航を続け、同年6月に安全確保命令を受けた。同社は経営トップの抜本的な意識改革や社外関係機関への速やかな報告など4項目からなる改善報告書を国交省に提出した。

 しかし、24年2月に再び浸水を確認した際もすぐに国交省に報告せず、運航を継続。当時の社長の指示で航海日誌などに「異常なし」とうその記載をし、浸水量が増えた5月には警報が鳴らないよう警報センサーの位置までずらしていた。

 「2回目の命令を受けたことを厳粛に受け止めている。今後は第三者委員会の調査に協力して原因究明と再発防止に取り組みたい」。国交省からの行政処分を受け、JR九州の最所祐一・経営企画部担当課長は厳しい表情で福岡市で記者団の取材に応じた。

 クイーンビートルのように国内外の港を結ぶ対外旅客定期航路事業は届け出制で、現行法上は安全確保命令が最も重い行政処分。海上運送法の改正で対外旅客定期航路事業は25年5月までに登録制となり、さらに重い事業停止命令などの対象にもなる。

 22年の北海道・知床での観光船沈没事故を受け、国が行政処分の基準として24年4月に創設した違反点数制度では、今回の違反は49点とされた。最所担当課長は「登録制になれば、事業の取り消しと同じようなレベルだと認識している。重く受け止めている」と沈痛な面持ちで語った。

 神戸大の渕真輝准教授(船舶安全学)は今回の行政処分について「重要なのは、安全に関わる現場からの報告を経営トップがなぜ軽視したのかという組織の問題だ」と指摘。「検査や修理をせずに運航を続けたのは信じがたい対応で、安全よりも経営を重視していたことが疑われる。JR九州の第三者委員会で詳しい経緯を明らかにすべきだ」と話した。【下原知広、平川昌範】

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