能登半島地震、地下の流体エリアからゆっくり破壊か 東大など解析
毎日新聞 / 2024年9月30日 15時54分
最大震度7、マグニチュード(M)7・6を記録した1月の能登半島地震は、通常の地震と比べてゆっくりとした断層破壊から始まったとの解析結果を、東京大地震研究所や南洋理工大(シンガポール)などの国際研究チームが米科学誌サイエンスに発表した。断層破壊の開始点が、地下に流体が豊富にたまった領域だった可能性を示す結果という。
能登半島では2020年12月以降、地下にたまり始めた水などの流体が原因と考えられる群発地震が活発化。この流体が海底活断層の滑りを誘発して元日の大地震につながった可能性が指摘されているが、明確な関係は分かっていない。
研究チームは、北米や豪州で観測された地震波形からさかのぼるなどして、能登半島地震の発生後数十秒間に断層の破壊がどのように伝わったかを調べた。
その結果、発生直後の約15~20秒までは秒速1キロに満たないほどゆっくりとした速さで震源から断層破壊が伝わった一方、約20秒を過ぎると、通常の地震の伝わり方と同じ秒速3キロ前後の速さで北東と南西方向に破壊が一気に広がったことが分かった。
発生直後の速度が遅かったのは、地下の流体が伝わりを妨げたからと考えられるという。チームの青木陽介・東大准教授は「普通の地震はガラスが割れるように一気に破壊が進行するが、能登半島地震では最初の破壊がズルズルと始まった。流体がたまっていたエリアを抜けてから一気に破壊が進み、甚大な被害をもたらした」と説明する。
能登半島では23年5月にもM6・5の地震が起きた。青木准教授によると、その際は断層破壊の広がりが流体の豊富な領域で止まったとみられるという。
青木准教授は「能登半島地震の震源地に流体があり、大地震に影響したことを間接的に示す成果だ。今後はゆっくりとした断層破壊の過程をより詳細に解析し、能登半島地震だけでなく一般的な地震発生のメカニズム解明に役立てたい」と話している。【大野友嘉子】
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
24日の津波は「トラップドア断層破壊」が原因か…気象庁、地震は「津波を観測するような規模ではない」
読売新聞 / 2024年9月24日 19時13分
-
能登半島震源付近の断層調査 ずれ確認、富山大と金沢大
共同通信 / 2024年9月15日 19時1分
-
「海が死にそう」能登半島地震後に起きた"異変" 海底からわく気泡… 漁の再開を願う海女
RKB毎日放送 / 2024年9月13日 16時48分
-
日向灘地震、震源長さ20キロ 政府調査委が評価
共同通信 / 2024年9月10日 22時20分
-
週刊地震情報 2024.9.1 真夜中に関東広域で揺れ 神奈川県東部震源で最大震度3
ウェザーニュース / 2024年9月1日 10時30分
ランキング
-
1安倍派会計責任者に禁錮3年、執行猶予5年 自民裏金事件で東京地裁
毎日新聞 / 2024年9月30日 15時1分
-
2被害1億円超も…寂しさつけ込む「SNS型ロマンス詐欺」に注意
産経ニュース / 2024年9月30日 16時18分
-
3衆院10月9日解散27日投開票 石破総裁表明、裏金対応など焦点
共同通信 / 2024年9月30日 18時0分
-
4視察先で女性市議に抱きつき、キスした疑い 津市議を書類送検
毎日新聞 / 2024年9月30日 12時7分
-
5石破茂氏に捨て駒としての価値を見た自民の冷徹 沈没の危機に瀕した党が繰り出す奥の手が炸裂
東洋経済オンライン / 2024年9月30日 14時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください