「人生の応援歌」 85歳が岩手・釜石市役所前で市民歌を熱唱
毎日新聞 / 2024年10月2日 14時0分
ふるさとの歌は人生の応援歌--。岩手県釜石市の若山節子さん(85)が1日、市役所で「釜石市民歌」を熱唱した。若くして古里を離れ1人暮らしが長く、苦しい時や寂しい時に口ずさんで自らを励ましたという。「多くの市民に歌ってもらうきっかけに」と希望した市役所で歌い「本当にありがたい」と涙と笑顔を見せた。
釜石市民歌は1937年の市制施行を記念して作られた。作曲は福島市出身で「長崎の鐘」や「六甲おろし」などで知られる古関裕而が担当した。
三陸沿岸にあり、製鉄所や漁業で栄えた釜石らしく「文化の薫り燦然(さんぜん)と 鉄の都の基(もと)固し」「大豊漁の声揚(あが)る いま海の幸集まりて」など地域の特徴がテンポ良く歌われる。メロディーは毎日朝昼夕の3回、市内全域に設置された防災行政無線から流されている。
市民歌ができた2年後、製鉄所勤務の両親の元に生まれた若山さんは、中学校入学後に市民歌に出合った。当時の印象を「とてもいいなあと思った」と振り返る。
市内に住む妹の釜澤典子さん(83)らによると、若山さんは中学卒業後上京し、ホテルなどに勤務。夫は早世し、子はない。寂しさや望郷の念にかられ「死にたい」と思ったこともあった。その都度河川敷などで市民歌を歌って自身を鼓舞したという。
若山さんは2018年3月、神奈川県内で交通事故に遭った。その3日後には脳梗塞(こうそく)を発症し、左半身が不自由に。やがて釜澤さんと同居することになり、20年7月に帰郷した。釜石市内の高齢者施設に通所し、24年1月には入所した。
「市役所で市民歌を歌いたい」。2年前から施設の職員に再三訴えていた若山さん。熱意にほだされた施設長が、9月に開いた敬老会を訪れた釜石市の保健福祉部長に伝えると市は快諾した。
1日午後、施設の車で市役所を訪れた若山さんは「市民歌は私の応援歌。特に『おおこの命 釜石市』の歌詞には涙が出る」とあいさつ。正面入り口前で小野共市長や市職員、釜澤さんらと共に5番まで歌いきった。
若山さんは取材に「市民歌にありがとうと言いたい。これからは自然の中でおいしい魚を食べながら楽しく過ごしたい」と笑顔を見せた。釜澤さんは「改めて良い歌詞だと思った。このような機会を作ってもらってありがたい」と感無量だった。【奥田伸一】
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