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人材開発支援金、訓練機関が企業に不適切キックバック 検査院指摘

毎日新聞 / 2024年10月9日 17時0分

会計検査院=東京都千代田区で、柴沼均撮影

 厚生労働省の「人材開発支援助成金」に関する会計検査院の抽出調査で、助成を受けた企業が職業訓練の委託先から費用をキックバック(還流)されていた事例が83件判明した。最終的に訓練費用の全額を助成金でまかなっており、検査院は「費用の一部を国が助成するという制度の趣旨から見て不適切。キックバックがあるなら申請額をその分減額すべきだった」と指摘。9日、厚労省に改善を求めた。

 厚労省は能力開発事業の一環として職業訓練を支援。企業が従業員のIT教育などを公的または民間の訓練機関に委託した場合、雇用保険料と国費を原資に費用の一部を助成している。

 検査院は今回、2019~23年度にリスキリング(学び直し)支援などとして助成金が支給された計約7万件のうち、244件を調査。その結果、83件でキックバックが確認された。

 83件中4件(助成額計239万円分)は名目上、訓練機関の業務に対する企業からの支援の報酬とされていたが、実態は無条件のキックバックだった。残りの79件(同1億495万円)は「感想文やアンケートの提出」といった企業の「役務」への対価。ただし、同一の役務でも金額は助成率によって異なり、企業の実費負担がゼロになるように調整されていた。

 東京労働局管内のある企業は22年12月、訓練機関から「受講者が感想文を提出すれば実質無料になる」と説明を受け、従業員6人の教育を264万円で委託。感想文提出後に「広告宣伝レビュー代」名目で75万円を受領し、労働局からは約188万円の助成金を支給された。合わせると訓練機関の説明通り、金銭的な負担がなくなったという。

 検査院は「『役務』の実態がなければ最大で全額返金する必要があるが、助成金要領に規定がなく、実態がある場合は一概に『返せ』とは言えない。明確化して要領に定めるべきだ」としている。

 厚労省企業内人材開発支援室の担当者は「指摘を真摯(しんし)に受け止め、助成金の適切な支給に向けて対応していきたい」とコメントした。【渡辺暢】

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