紫金山・アトラス彗星 12日ごろから西の夜空に 肉眼でもチャンス
毎日新聞 / 2024年10月10日 17時0分
2023年1月に発見された「紫金山・アトラス彗星(すいせい)」(C/2023A3)が、多くの天文ファンの注目を集めている。
9月下旬から10月初めまでは日の出前の東の空で観測できた。一時的に見えなくなったが、10月12日ごろから、日没後の西空に現れる。20日ごろにかけて観測条件が良くなり、美しい姿が見られると期待されている。
「紫金山・アトラス彗星」は、中国の紫金山天文台と、小惑星地球衝突最終警報システム「アトラス(ATLAS)」の南アフリカの望遠鏡によって発見された。太陽系の外側を取り巻く「オールトの雲」と呼ばれる微小な天体が集まる領域から来たとされる。今回初めて太陽に接近し、二度と戻ってこないとみられている。
この彗星は木星と土星の軌道の中間あたりで発見された初期から、大彗星になると期待された。ところが6月ごろには一時的に増光が止まり、彗星が消滅に向かっていると推測された時期もあった。
しかし、9月中旬以降、太陽に近づくにつれ増光。急激に尾が伸びて「ほうき星」と呼ばれる美しい彗星の姿になっていった。
20年の「ネオワイズ彗星」と並び、今世紀に日本で見られた中では、最も明るく尾の長い彗星として観測できるチャンスとなっている。
10月初めまでの「前半戦」は夜明け直前の低空で、肉眼では確認しづらかった。12日以降、彗星は西空の中を大きく移動し、日ごとに高度が高くなるため、見つけるのは容易になりそうだ。
国立天文台では、10月15日にかけて彗星は1・5~3等、16~18日は2~3・5等、19~20日は2・5~4等程度の明るさになると予測している。一番観察しやすいのは高度が高くなる16日から数日間。しかし、10月17日が満月なので、絶好機に月明かりの影響を受ける。双眼鏡を使うとさらに観測しやすい。
彗星の明るさは正確な予測が難しく、予想通りにならない可能性もあるが、久々に日本で見られる明るい彗星。「一期一会」の姿に注目したい。【手塚耕一郎】
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