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時速160キロで追突事故は遺族「過失の速度でない」 訴因変更請求

毎日新聞 / 2024年10月10日 21時43分

記者会見で心境を語る佐々木一匡さんの妻多恵子さん(左手前)=宇都宮市で2024年10月10日午後0時3分、池田一生撮影

 宇都宮市の国道で2023年2月、オートバイの男性が時速約160キロで走行していた乗用車に追突されて死亡した事故で、宇都宮地検は10日、自動車運転処罰法違反(過失運転致死)で公判中の被告について、法定刑がより重い危険運転致死への訴因変更を宇都宮地裁に請求した。男性の遺族が強く要望していた。地裁が認めれば裁判員裁判で審理されることになる。

 起訴状などによると、23年2月14日午後9時35分ごろ、新4号国道(法定速度60キロ)で、栃木県足利市の石田颯汰被告(21)が時速160キロ超で乗用車を運転。前方にいた宇都宮市の会社員、佐々木一匡さん(当時63歳)のオートバイに追突し、死亡させた。

 地検は石田被告を過失運転致死(法定刑上限懲役7年)で起訴。同年4月には地裁で初公判が開かれたが、危険運転致死(同20年)への訴因変更を検討していた。

 地検の古賀由紀子次席検事は「所要の捜査の結果、該当すると判断した。具体的な経過はコメントできない」と説明。請求内容では、石田被告の運転を「進行を制御することが困難な高速度で走行」「先行する車を妨害する目的で、重大な危険を生じさせる速度で進行」などと指摘した。

 地検の請求を受けて記者会見した佐々木さんの妻多恵子さん(60)は「ずっと主人の無念を晴らしたいと思っていた。ほっとしている」と話した。石田被告の起訴後、他の事故遺族らと「高速暴走・危険運転被害者の会」を設立し、「過失や不注意と言える速度ではない」と訴因変更を求め、計約7万5000筆の署名を地検などに提出してきた。危険運転は要件が曖昧で適用されにくいとの指摘もあり、多恵子さんは「現状の狭い法解釈が広がればと思っている」と訴えた。

 自動車運転処罰法は危険運転の対象について、アルコールや薬物の影響で正常な運転が困難▽制御が困難な高速度▽赤信号を殊更に無視――といった状態での走行を規定。だが、何キロ以上なら「制御困難な高速度」に当てはまるか具体的な基準はなく、法定速度を大幅に上回っていても適用されないケースもある。

 法務省は有識者検討会を設け、24年2月から見直しに向けた議論を進めている。

 一定の速度以上は一律に対象にするとの考え方が示された一方、同じ速度でも運転する場所や道路状況によって危険性が異なるため、適切な基準を設定できるのかという懸念も示されている。危険運転致死傷の法定刑の引き上げも議論されており、他の論点も含め、検討会で法改正が必要と結論付けられれば、法制審議会(法相の諮問機関)に諮問される見通しだ。【池田一生、三上健太郎】

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