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認知症の父どこに 捜し続けて1年半、長女「早く見つかって」 長崎

毎日新聞 / 2024年10月11日 10時26分

父の情報提供を求める掲示板の前で思いを語る江東愛子さん=長崎市鳴滝で2024年10月4日午後6時22分、百田梨花撮影

 長崎市立山1の旧県立図書館にあった洋食店「いしだたみ」の元オーナーで認知症の坂本秀夫さん(74)が、2023年4月に行方不明になってから16日で1年半になる。今も県内外で捜し続ける長女の江東愛子さん(46)は「どんな形でもいいから、早く見つかってほしい」と願う。【百田梨花】

情報提供呼び掛け

 坂本さんは高校卒業後に料理人となり、旧県立図書館が閉館した18年まで約30年間、「いしだたみ」を経営。得意料理のトルコライスなどが多くの人に愛された。

 坂本さんは62歳だった12年、少し前の出来事が思い出せなくなり、若年性認知症と診断された。同じことを何度も繰り返して言うようになったが、日常生活はでき、店でフライパンを握り続けた。

 18年に閉店後は毎日のようにデイサービスに通い、職員から施設で出す料理について助言を求められることもあった。江東さんは「元々厳格な父だったが、認知症になってからは冗談を言うなど穏やかになった」と話す。

 坂本さんは23年4月16日午後4時ごろに日課の散歩に出かけた。1時間しても帰宅しないことを心配した妻悦子さん(77)が携帯電話に連絡を取ると、怒ったように「もう帰ってきよる」と言った。それを最後に連絡が途絶えた。

 江東さんは、坂本さんの自宅周辺や幼い頃に遊んでいた場所などを捜した。市内の自治会の掲示板に父の写真を印刷した紙を貼り、テレビや新聞、SNS(ネット交流サービス)などでも情報提供を呼び掛けた。「似たような人がいる」との情報があれば福岡県まで足を運び、父の写真を手に生活困窮者の支援団体などを訪ねた。

家族支えるNPOを設立

 江東さんはこうした経験を社会に生かそうと、認知症で行方不明になった人の家族を支援するNPO法人「いしだたみ・認知症行方不明者家族等の支え合いの会」を今年8月に設立。ホームページなどを見た十数家族から相談が寄せられた。

 江東さんは「1年半はあっという間だったが、ずっと暗い気持ちばかりではない。前に進まなければ」と語る。

 県警人身安全・少年課によると、23年に県内で842件の行方不明者届を受理。うち認知症(疑いを含む)が原因とされるのは94件で、22年より12人増加した。

 坂本さんに関する情報提供は長崎署(095・822・0110)へ。

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