女性差別撤廃条約 日本が25年も検討中の制度、国連審査の議題に
毎日新聞 / 2024年10月14日 10時0分
女性の人権と平等を保障する、国連の女性差別撤廃条約。条約の実効性を高めるため、国内で手を尽くしても訴えを認められなかった女性が国連に人権救済を申し立てられる制度に改めて注目が集まっている。日本の条約の履行状況を調べる審査が17日にスイス・ジュネーブで予定されており、制度の導入を25年間も先送りしている政府の姿勢が問われる見通しだからだ。
個人通報制度は、個人から通報を受けた国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)が締約国の反論も聞いて審査。見解(勧告)を締約国に通知する。制度は1999年に採択された同条約の選択議定書に盛り込まれ、2023年4月現在で同条約を締約した189カ国中115カ国が批准している。日本は条約自体は批准しているが、選択議定書は締結・批准していない。
政府は02年に国連に提出した報告書で個人通報制度を評価する一方、「我が国の司法制度との関連で問題が生じるおそれがあり慎重に検討すべきであるとの指摘もあることから、締結の是非につき真剣かつ慎重に検討している」とした。選択議定書の採択から四半世紀を経た今も検討は続く。
この間、09、16両年の国連審査で批准の見通しや努力などを問われたが、政府は「検討中」という立場を変えておらず、今回の審査でも早期批准への姿勢が議題の一つになる見通しだ。
腰が重い政府に業を煮やした女性らが進めてきたのが、地方議会への働きかけだ。各地で勉強会などを開いた結果、政府に批准を求める意見書を採択した議会は増え続け、女性団体で作る「女性差別撤廃条約実現アクション」の集計によると、10月7日現在で延べ348までになっている。
批准を求める声は高まるが、今月8日の参院本会議の代表質問で石破茂首相は「我が国の司法制度や立法政策との関係で検討すべき論点があることから、各方面のご意見も踏まえ、早期締結について真剣に検討している」と従来の政府答弁を繰り返すにとどまっている。【大和田香織】
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