時速194キロで衝突、死亡事故 「危険運転に」初公判に臨んだ遺族
毎日新聞 / 2024年11月5日 22時31分
時速194キロでの衝突死亡事故が「危険運転」なのかを問う裁判員裁判が大分地裁(辛島靖崇裁判長)で5日始まった。大分地検は当初、自動車運転処罰法違反(過失運転致死)で在宅起訴したが、事故で死亡した小柳憲さん(当時50歳)の遺族らの署名活動を受け、危険運転致死に変更するという経緯をたどった。事故発生から約3年9カ月を経て初公判に臨んだ小柳さんの姉、長文恵さん(58)は記者会見し、「すごく長い時間だった。弟の無念を少しでも晴らしてあげたい」と語った。【井土映美、神山恵、山口泰輝】
起訴状などによると、男性は2021年2月9日午後11時ごろ、法定速度の上限が時速60キロの県道交差点で、制御困難な同194キロで車を直進させ、対向車線から右折してきた車に衝突。運転していた会社員の小柳さんを出血性ショックで死亡させたとしている。
公判冒頭で、男性は「(死亡した)小柳憲さんとご遺族に心より謝罪申し上げます」と述べたが、長さんは公判後の記者会見で「こちらを見ることはなかった。誰への謝罪かなというのが率直な意見」と釈然としない気持ちを振り返り、「この運転さえなければ、私は裁判に来ることも、日常が壊されることもなかった」と訴えた。
公判で検察側は、小柳さんの下半身が粉砕骨折したことが分かる診断書や、当時着用していた衣服の写真を証拠として提出。長さんは法廷内のモニターに映し出された証拠を涙ながらに見つめていたが、その時の心境を聞かれると「痛かっただろうと思う。痛いとか何にも言えずに私たち家族の元からいなくなっちゃった」とうつむいた。
それでも署名活動が訴因変更につながり、初公判を迎えられたことを「声を上げて良かった。仲間が集まって発信すれば、やれることはある」と語り、「法定速度3倍以上の速度がちゃんと危険運転にならないといけない。全国の同じような事例につながる判決を望んでいる」と話した。
会見には、危険運転致死傷罪が創設されるきっかけとなった東名高速道路の飲酒運転追突事故(1999年)の遺族、井上郁美さん(56)らも出席した。
同罪を巡っては、適用のハードルが高いと問題視する声が高まり、法務省は現在、法改正も視野に見直しの議論を進めている。井上さんは「長さんたちは法改正されても適用されない。今の法律で十分戦えると大分から証明してもらいたい」と話した。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
時速194キロ運転で死亡事故 弁護側、危険運転の成立争う姿勢
毎日新聞 / 2024年11月5日 19時55分
-
時速194キロは危険運転か 遺族「うっかり過失なわけない」
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月5日 18時37分
-
時速194キロでも「危険運転」適用に難しさ、遺族「認められない不安ある」…大分の衝突死亡事故で5日初公判
読売新聞 / 2024年11月3日 14時30分
-
危険運転致死罪の成否が争点 194キロ事故、5日に初公判
共同通信 / 2024年11月1日 18時0分
-
時速194キロ暴走は危険運転? 高速度基準なく 死亡事故初公判へ
毎日新聞 / 2024年11月1日 5時0分
ランキング
-
1「千葉バラバラ女性遺体」瑠奈被告が検索か 母親の裁判で“新たな証拠” 札幌すすきのホテル殺人事件
HTB北海道ニュース / 2024年11月5日 16時31分
-
2出生数、初の70万人割れの公算 今年上半期、6%減の33万人
共同通信 / 2024年11月5日 17時31分
-
3南海トラフ臨時情報、20~30代の3割以上が「発表も知らない」
毎日新聞 / 2024年11月5日 16時0分
-
4末尾が「0110」の国際電話に要注意!特殊詐欺が増加 怪しい電話には「出ない・かけ直さない」
CBCテレビ / 2024年11月5日 20時55分
-
5【速報】行方不明だったドイツ人大学生 和歌山沖の海上で遺体で見つかる 旅行中に連絡途絶える スーツケースが駅のコインロッカーから発見
MBSニュース / 2024年11月5日 15時35分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください