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輪島の仮設フードコート、住民らの憩いの場に 被災店舗の復興後押し

毎日新聞 / 2024年11月10日 12時30分

地元住民や復興支援の業者らでにぎわう仮設フードコート「NOTOMORI」=石川県輪島市で2024年11月7日午後7時26分、国本ようこ撮影

 石川県輪島市の「のと里山空港」駐車場で2日にオープンした仮設のフードコート「NOTOMORI」が、地元住民や復興支援の業者、災害ボランティアの憩いの場となっている。1月の地震、9月の豪雨と二重の災害に見舞われた能登半島で、被災店舗の復興も後押しする新たな拠点が歩み出した。【国本ようこ】

 オープンから数日後の夜。すっかり日が暮れた駐車場に、ひときわ明るく輝く建物があった。ガラス張りの内部は、食事をしながら談笑するグループでにぎわっている。

 被災地の護岸工事で訪れた、同県小松市の土木建築会社に勤める但馬啓亮さん(44)は仕事仲間2人と夕食を囲んだ。カレーを注文し「温かい物を食べられてすごくありがたい」と笑った。転職のタイミングを利用し災害ボランティアに参加した岐阜県関市の中沢紀孝さん(50)は、刺し身をあてに一杯。空港に隣接するベースキャンプに宿泊するが、飲酒禁止といい「飲めてうれしい。被災地の泥かきで体を動かしたので、ビールがおいしい」と喜んだ。

 130席あるテーブル席は、リビング・ダイニングをイメージ。暖かみのある照明で、くつろげる雰囲気を演出している。また、Wi-Fi(ワイファイ)とコワーキングスペース、会議室(計19席)を整備し、ビジネス利用の客も想定している。

 NOTOMORIは、3月から石川県の復旧・復興アドバイザリーボード委員に就いた高橋博之氏が代表を務める「雨風太陽」がプロデュースした。高橋氏は県が復興プランを作成するにあたり、来県者を増加させる「関係人口の創出」が重要と助言。さらに、奥能登で被災後に営業を再開した飲食店が少なく、食事を取る場所に困るとの声があり、県に「食を起点とした関係人口創出」の計画を提案したところ、県が国の助成を受けて整備した。支援者の仮設宿所があり、一定の往来もある空港敷地内に設置することで、地元や飲食店の人々と支援者との交流の場として機能させる狙いだ。

 県によると、出店する飲食店は奥能登4市町を中心に探し、6店舗に決まった。約5年間は家賃無料で入居できる。

 NOTOMORIの責任者で「雨風太陽」人流創出部・笹谷将貴さん(31)は「お客さんが分散しない、ちょうどよい規模感になった」と語る。フードコート形式をとった理由を「これまで被災地にあった仮設飲食店街は、1店舗ずつ客席を設けたものが多かった。客同士がコミュニケーションを取れる場所にしたかった」と説明した。

 カフェ「SMOCO」の鹿島直皓さん(32)は、海外で飲食店の仕事を経て、約4年前に穴水町に移住。1年半前、「子連れもゆっくりできるように」とキッズスペースを設けたカフェを始めた。ようやく営業が軌道に乗ってきた直後に被災し、店舗が全壊。再開のめどが立たない中、出店の話があり、参加した。菓子を仕込みながら「ありがたいことにすごく忙しい。5年後にまた穴水で店をやりたい」と声を弾ませた。

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