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「生成AIの適正使用を」 声優らの声の無断利用に危機感 業界団体

毎日新聞 / 2024年11月13日 20時25分

記者会見に出席した声優のかないみかさん(前列左端)ら音声業界3団体のメンバー=東京都千代田区で2024年11月13日午後3時45分、西本龍太朗撮影

 俳優や声優らが所属する日本俳優連合(日俳連)など業界3団体は13日、東京都内で記者会見を開き、音声分野における生成AI(人工知能)の適正な使用を求める主張を発表した。声優ら実演家の声を無断で生成AIに学習させて作った動画や音源がインターネット上で無数に公開されている状況を危惧し「声優文化を守りながら、AIとの適正な共存方法を模索する」ことを提起した。

 3団体は、日俳連、日本芸能マネージメント事業者協会、日本声優事業社協議会。2023年11月から音声制作における生成AIの扱いについて協議してきた。

 声明では、アニメーションや外国映画などの吹き替えでは生成AIによる音声を使用しないこと▽生成AIに実演家の声を学習させたり、それを基にした音声を利用したりする場合は、本人に許諾を得ること▽生成AIによる音声を利用する際は生身の実演家による音声ではないことを明記すること――を求めた。

 法整備を含めた対策の必要性にも言及。現行の著作権法では、AI開発の段階で著作物を機械学習させる場合、権利者の許諾は原則不要だが、3団体は、権利者の許諾を必要とするルールの確立を強く要望した。

 3団体は声明で、生成AIなどの新たな技術について「やみくもな規制を求めてはいない」とした上で、「新しい技術の無秩序な乱用によって、実演家の成長が妨げられ、一般視聴者の感性が阻害される可能性を危惧する」と指摘し、「AIは人間の『補強ツール』であり続けるべき」だと主張している。

 記者会見で、日俳連の池水通洋副理事長は「生成AIによってクリエーターが打撃を受け、培ってきた技能の継承ができなくなることを恐れている」と危機感をあらわにした。主張内容は今後、音声制作事業者らに周知していくという。

 また、日俳連理事で声優のかないみかさんは「AIの全てを否定しているわけではないが、本当に言いたいのは『無断で私たちの声を勝手に使わないでください』ということだ」と訴えた。

 【西本龍太朗】

音声業界3団体の主張

・アニメーションや外国映画などの吹き替えで生成AIによる音声を使用しないこと

・生成AIで実演家の声を学習したり、利用したりする際は実演家本人の許諾を得ること

・生成AIによる音声を使用する場合、生身の実演家による音声ではないことを明記すること

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