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谷川俊太郎さん 生きることを問う言葉の数々 つむぎ続けた70年余

毎日新聞 / 2024年11月19日 17時41分

詩人の谷川俊太郎さん=東京都杉並区で2020年2月26日、長谷川直亮撮影

 現代日本を代表する詩人で、絵本や作詞、エッセーなど幅広い著作で親しまれた谷川俊太郎(たにかわ・しゅんたろう)さんが13日、老衰のため死去した。92歳。葬儀は18日に近親者で営んだ。お別れの会を後日開く予定。

 東京都生まれ。父親は哲学者で法政大学総長を務めた谷川徹三。1952年に詩集「二十億光年の孤独」でデビューし、既存の戦後詩と異なる清新な作品が注目された。53年、茨木のり子、川崎洋が創刊した詩誌「櫂(かい)」に参加し、大岡信、吉野弘ら同世代の若い詩人たちと活動。以来、70年余にわたり人間の根源や生きることの意味を問う詩作を続けた。

 絵本「ことばあそびうた」(73年)など子ども向けの作品も熱心に書き、「もこもこもこ」(77年)は100万部を超えるロングセラーとなった。世界の人々の営みと連帯を表現した詩「朝のリレー」は教科書にも掲載された。

 活動分野は多岐にわたり、62年に「月火水木金土日の歌」で日本レコード大賞の作詩賞を受賞。64年の東京オリンピックでは、公式記録映画の製作に脚本家として参加した。テレビアニメ「鉄腕アトム」やアニメ映画「ハウルの動く城」の主題歌の作詞も手がけた。

 詩集「世間知ラズ」で萩原朔太郎賞(93年)、「シャガールと木の葉」などで毎日芸術賞(2006年)、「トロムソコラージュ」で鮎川信夫賞(10年)、「詩に就いて」で三好達治賞(16年)など多くの賞を得た。近年はスマートフォン向けの詩集アプリ「谷川」や、郵便で詩を送る「ポエメール」など詩の可能性を広げる新たな取り組みも始めていた。

 作品は英語、フランス語、中国語など二十数カ国語に翻訳。平易なことばを用いた詩は外国人向けの日本語教育に活用され、国際相互理解の促進に貢献したとして19年度の国際交流基金賞を受賞した。

 私生活では3度の結婚と離婚を経験。長男で音楽家の谷川賢作さんのピアノ演奏に合わせて詩を朗読する“父子コンサート”も開いてきた。

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