「意味ある行為だ」持論30分 つばさの党代表ら選挙妨害で無罪主張
毎日新聞 / 2024年11月20日 20時31分
4月の衆院東京15区補欠選挙で、他陣営の選挙活動を妨害したとして、公職選挙法違反(自由妨害)に問われた、政治団体「つばさの党」代表の黒川敦彦被告(46)ら3人は20日、東京地裁(板津正道裁判長)で開かれた初公判で、いずれも無罪を主張した。
起訴状によると、黒川被告と、つばさの党幹事長で補選に立候補して落選した根本良輔(30)、つばさの党組織運動本部長の杉田勇人(39)両被告は共謀。東京15区補選の選挙期間中、他の候補者の演説中に拡声器を使って大音量で怒鳴ったり、選挙カーを追いかけ回したりして、無所属で立候補した作家の乙武洋匡氏ら複数の候補者陣営の選挙活動を妨害したとされる。
黒川被告は起訴内容の認否を問われ、約30分間にわたり持論を展開。相手陣営を邪魔する目的はなく、拡声器を通じて質問をすることで有権者に投票行動の材料を提供することが目的だったと訴えた。自らは迷惑系ユーチューバーではないとし、「政治的に意味のある適法な行為だ」と述べた。
検察側は冒頭陳述で、黒川被告が2022年ごろから、つばさの党の知名度向上のため、「凸(とつ)」と称した他陣営に対する妨害行為を繰り返していたと指摘した。
黒川被告ら3人が補選前に、他陣営に押しかけて選挙運動を妨害することを街宣活動の中心にすると決めていたとし、こうした行為を動画サイトに投稿し視聴回数を増やして収益を得ることを期待していたと言及した。妨害行為により他陣営の候補者の演説を聴くことができなくなった聴衆もいたとも述べた。
これに対して弁護側は、選挙の自由妨害を定めた公選法の規定は構成要件が漠然としていて無効だとした上で、被告らの行為は政治的表現活動に当たり、憲法上保護されるべきだと反論した。
事件を巡っては、民主主義の根幹である選挙活動の自由を脅かす問題だとし、国会では自由妨害を適用できる基準の明確化や、罰則強化をすべきだとの声が上がった。【飯田憲】
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