下仁田ネギ、収穫量は例年の6割か 猛暑で「生育環境全く変わった」
毎日新聞 / 2024年11月22日 11時0分
特有の強い甘みと、とろりとした柔らかい食感で人気の「下仁田ネギ」。これから本格的な旬を迎えるが、記録的な暑さの影響で、根腐れや病害虫の被害が深刻化し、収穫量が例年の6割ほどと大幅に減りそうだ。生産農家は「夏の酷暑が当たり前になり、ネギの生育環境が全く変わってしまった」と落胆する。【庄司哲也】
江戸時代から続く産地の群馬県下仁田町馬山地区。くしの歯が欠けたように、所々ネギが生えていない畑があちこちにあった。10月まで続いた暑さで根が腐り、ネギが枯れてしまう「ネギ抜け」と呼ばれる現象が多発。町農林課は「例年の4割減といわれた昨年と同程度。農家によっては、昨年より悪いところもある」という。
栽培農家の小金沢章文さん(61)は、畑に生えていた雑草のオヒシバをむしりながら嘆く。「本来は夏の雑草がまだ生えている。まるで亜熱帯のような気候だ。高温多湿を嫌うネギには適さない環境になっている」
伝統的な下仁田ネギの栽培は、種まきから収穫まで15カ月ほどの育成期間をかける。10月に種をまき、発芽後に芽ネギの状態で越冬。翌年4月に苗床から畑に移植する。さらに7、8月に「本植」と呼ばれる植え替えを行い、2度目の冬にようやく収穫期を迎える。栽培期間が長い分、気候の影響を受けやすい。
町は今夏も猛暑が続いた。植え替えシーズンの7月7日には西野牧の最高気温が39・8度に達し、観測史上最高を記録。9月になっても気温は下がらず、同月20日には最高気温が35・6度と最も遅い猛暑日(最高気温35度以上)の記録を更新した。9月の平均気温は23・3度と平年より3・1度も高かった。
高温に加えて、9月上旬に同町周辺は激しい雨に見舞われ、土中が高温多湿になってしまった。残暑が長びき、葉を食い荒らすネギアザミウマやヨトウムシなどの害虫の活動期間も延びた。
ほかにも下仁田ネギは近年、大きな悩みを抱えている。町外で、植え替えの本植を省いて栽培された同品種が「下仁田ネギ」として出回っているのだ。暑い盛りに1本ずつ手植えをする本植は大変な労力だが、それでも小金沢さんら馬山地区の農家は、伝統的な栽培方法を守っている。
その理由を、小金沢さんはこう説明した。「本植によって下仁田ネギはおいしくなる。この作業を省くと身が詰まらなくなる。伝統栽培を行うことでブランドを維持し、ほかのネギと差別化を図らなければならない」
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
九条ネギ 同業のネギ農家が窃盗か 「盗んだ方が早い」と初公判で 防カメに刈り取る様子も…
日テレNEWS NNN / 2024年11月22日 6時33分
-
猛暑の影響でみかんは青いまま…“日焼け”した実もあちこちに 値段は2割ほどあがる可能性も
CBCテレビ / 2024年11月21日 20時45分
-
11月も中旬なのに青々としたモミジ、10月の高温で紅葉の見頃が遅れる…観光客は半袖姿も目立つ
読売新聞 / 2024年11月16日 7時40分
-
【異変】夏の記録的猛暑にカメムシ 秋に収穫期を迎える果物にダメージ増加(静岡)
Daiichi-TV(静岡第一テレビ) / 2024年11月8日 17時44分
-
児童が伝統野菜「横沢曲がりねぎ」を収穫 "なべっこで食べるのが楽しみ" 大仙市太田南小
ABS秋田放送 / 2024年11月6日 18時10分
ランキング
-
1斎藤氏再選で「兵庫県民を批判」する人の"盲点" 「疑惑」に乗っかった稲村氏の戦略もまずかった
東洋経済オンライン / 2024年11月22日 8時40分
-
2今週7か月ぶりに再開したばかりも…また掘削停止、岩盤発見 北海道新幹線「羊蹄トンネル」
STVニュース北海道 / 2024年11月22日 14時30分
-
3新潟市南区妻子殺害事件 被告の男に無期懲役の判決 新潟地裁
BSN新潟放送 / 2024年11月22日 15時2分
-
4東大駒場キャンパスに侵入し学生のPC盗んだ疑い、無職の男を逮捕
読売新聞 / 2024年11月22日 13時13分
-
5百合子さま葬儀に3億2500万円=国費から支出
時事通信 / 2024年11月22日 10時22分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください