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「くむべき点皆無」 妻子殺害した元看護師に無期懲役判決 新潟地裁

毎日新聞 / 2024年11月23日 9時40分

新潟地方裁判所=増田博樹撮影

 新潟市南区の自宅で2021年11月、妻子をロープで絞殺したなどとして、殺人など四つの罪に問われた元看護師、渡辺健被告(31)の裁判員裁判で、新潟地裁(小林謙介裁判長)は22日、求刑通り無期懲役の判決を言い渡した。小林裁判長は職場の同僚だった女性との不倫関係から渡辺被告が妻子を疎ましく思ったと認定し、「被害者らには何らの落ち度もない。経緯や動機にくむべき点は皆無だ」と強く非難した。【中津川甫】

 判決によると、21年11月7日午前、自宅で妻春香さん(当時29歳)と長女純ちゃん(同1歳)の首をロープで絞め窒息死させた。また同3月に春香さんに睡眠薬を入れた飲料水を提供し、飲んだ可能性があるのを知りながら、妻子が車で出かけるのを制止せず交通事故を起こさせて殺害しようとしたほか、同9月には春香さんを殺害しようと勤務先の病院から薬剤を盗んだ。

 小林裁判長は「2名の尊い生命が奪われた結果は誠に重大」と指摘。3月と9月の事件で殺意は無かったとする被告側の無罪主張については「死亡する可能性も認識していたと推認できる」「塩化カリウム(薬剤)を無断で持ち出した時点で殺害しようと考えていたと認めるのが相当」と退け、殺人未遂と殺人予備の罪も認定した。

 また渡辺被告が18年5月に結婚したのに、19年10月ごろには同僚と不倫関係にあったとし、「勾留中、被害者遺族に対する謝罪文を作成する傍らで不倫相手に恋文を送っていた」などと指摘。「妻の悔しさ、無念さ、悲しさ、絶望は筆舌に尽くし難い。長女の死も痛ましいというほかない」と強調し、「渡辺被告に有利な事情を最大限考慮しても有期懲役刑を選択すべきとは到底言えない」と非難した。

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