「危険運転と認め抑止に」 194キロ死亡事故、判決への遺族の願い
毎日新聞 / 2024年11月27日 18時0分
大分市で2021年、時速194キロで車を運転し、衝突死亡事故を起こしたとして自動車運転処罰法違反(危険運転致死)に問われた当時19歳の男性被告(23)に対し、大分地裁の裁判員裁判は28日、判決を言い渡す。刑罰の軽い同法違反(過失致死)の適用を求める弁護側に対し、事故で死亡した小柳憲さん(当時50歳)の遺族は「法定速度の3倍超で激突した事故が過失なわけがない」と訴えてきた。小柳さんの姉、長文恵(おさ・ふみえ)さん(58)は「被害者に寄り添った判断を」と願う。
「弟はシートベルトが引きちぎられるほどの速度で衝突された。怖かっただろうと思う」。長さんは小柳さんの命日には必ず現場を訪れ、花を手向けてきた。初公判前の10月12日にも現場交差点の中央分離帯に設置された花筒に花を添えた。「弟の無念を晴らし、良い報告ができるように」
事故は21年2月9日午後11時ごろ、大分市の県道交差点で起きた。小柳さんの下半身は事故の衝撃で粉砕骨折し、見るに堪えない状態だった。
大分地検は当初、時速194キロでも直線道路では制御困難だったとまでは言えないとして過失致死罪で被告を在宅起訴した。疑問に感じた長さんらが約3万筆の署名を集めて提出すると、地検は危険運転に訴因変更し、地裁も認めた。
長さんは「初めは孤独だったが、全国の交通事故遺族らに支えられた。署名に協力してくれた人々から届いた多くの手紙にも励まされた」と振り返る。「一人だけでは闘えなかった」
被害者参加制度を利用し、これまで6回の公判全てに立ち会ってきた。被告が被告人質問で「加速する感覚を楽しんでいた。わくわくした」などと述べた時は怒りで体が震えたという。判決では、市民から選ばれた裁判員の判断にも注目したいと長さんは話す。「法定速度の3倍以上の速度が危険運転にならなければ、今後のスピード超過の抑止にならない」【井土映美】
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