容疑者はなぜ捜査線上に いじめに自傷、女児を連続でターゲットか
毎日新聞 / 2024年11月27日 10時26分
学生時代のいじめに厳しいしつけ、自傷行為――。勝田州彦容疑者はなぜ、女児を狙った事件を繰り返すようになったのか。未解決事件を抱える兵庫県警の捜査線上に浮かんだのは遅くとも9年前にさかのぼる。
同県加古川市にある容疑者の実家。表札が白い紙で覆われており、人けがない。「いつも家の前で車を洗っていた。きれい好きでええ子やった」。近くの女性は容疑者の姿をよく覚えていた。
住民らによると、容疑者は4人家族。地元で育った後、大阪の専門学校で空港業務に携わる仕事について学んだ。20歳を過ぎた頃の2000年に卒業したが、同じ年に女児ら数人への暴行事件で有罪判決を受けた。
過去の裁判記録をたどると、容疑者に強く影響を与えたとされる出来事を弁護人が指摘していた。親からの厳しいしつけと、中学時代のいじめだ。
似た手口次々と
容疑者はこれらのストレスで中学3年の頃から、自身の腹をナイフで刺す行為を繰り返していた。後に少女が登場するアニメに強い興味を持ち、性的な関心は女児に向いた。「現実の女児を刺したい」。こう考えるようになっていった。
「気持ちに波があるタイプ。話したり、そうでなかったり」。兵庫県警の元捜査員は容疑者の人物像をこう語る。県警は9年前の15年、同県姫路市で女子中学生が刃物で襲われた事件で容疑者を逮捕していた。
県内ではたつの市の女児刺傷事件(06年)、加古川市の女児刺殺事件(07年)が未解決のままだった。似た手口だったことから県警は容疑者に着目。ただ、元捜査員は「当時から関わっているという心証があったが、本人が供述しなかった」と明かした。
容疑者は23年、岡山県津山市で女児を殺害した事件(04年)で無期懲役が確定した。兵庫県警は再び、服役の身となった容疑者へのアプローチを始める。二つの事件は物証に乏しかったが、関与を示唆する本人の供述で足踏みしていた捜査が動き出すことになった。
自ら手紙で告白
「どちらも自分がやった事なので、刑事に自供したんですよ」。容疑者は11月の逮捕前、刑務所からフリーライターの高橋ユキさん(50)宛てに手紙を送っていた。たつの、加古川両市の事件への関与を認めた。
高橋さんは津山市の事件で容疑者が逮捕されてから関心を持つようになり、3年前から手紙のやり取りを始めていた。容疑者も手紙の公表を了承しているといい、「良くて無期懲役、悪くて死刑のレベルですね」ともつづられていた。
高橋さんは「津山の事件でずっと『やっていない』と言っていたので、今回の告白には驚いた。彼には本当のことを話してほしい」と語った。【斉藤朋恵、木山友里亜】
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