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検事正、袴田さんに直接謝罪 判決の捏造指摘は「承服しがたい」

毎日新聞 / 2024年11月27日 20時36分

袴田巌さんと姉の秀子さんに謝罪する静岡地検の山田英夫検事正=代表撮影

 1966年6月に静岡県清水市(現静岡市)で一家4人が殺害された事件を巡り、死刑が確定していた袴田巌さん(88)のやり直しの裁判(再審)で無罪が確定したことを受け、静岡地検の山田英夫検事正が27日、浜松市内で袴田さんと面会し、直接謝罪した。

 袴田巌さんを巡る裁判では、検察トップの畝本直美検事総長が再審無罪とした静岡地裁判決の控訴を断念した際、争点となった「5点の衣類」について捜査機関の捏造(ねつぞう)を指摘した判決内容を不満とする談話を出していた。

 袴田さんへの謝罪後に記者会見した静岡地検の山田英夫検事正は、捏造の指摘は「承服しがたい」としながらも「問題があると考えつつ(判決を)受け入れた。袴田さんを犯人視することはない」と述べた。謝罪に立ち会った弁護団事務局長の小川秀世弁護士は、談話が袴田さんを犯人視していることを指摘して、検事正に説明を求めたという。

 畝本検事総長は10月、捏造の指摘がある判決を「到底承服できず、控訴して上級審の判断を仰ぐべき内容」とする談話を発表。弁護団は撤回を求めてきた。

 山田検事正はこの日の会見で、談話は「証拠に照らしておかしい点があり、判決の問題点について触れたもの」と説明した。判決を受け入れた後は袴田さんを犯人として扱わないことを強調し、面会でもその考えを伝えたとしている。

 謝罪では裁判が長期にわたったことにも触れており「立証した検察が全く無関係ではない」と説明。長期化の要因を最高検で検証して今後発表するという。

 判決から約2カ月後の謝罪となったことは、法廷で争ってきた袴田さんと秀子さんに会うことで気持ちを不快にさせる恐れがあり、慎重に検討してきたことを理由に挙げた。

 小川弁護士は、山田検事正の謝罪には一定の誠意を感じたとしつつも「ある意味当然のこと。まだ納得できるようなことではなかった」と話した。検事総長の談話は今後も撤回を求めていく可能性があるという。【丘絢太、山田英之】

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