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原告女性「心身ともにぼろぼろ」 大阪・岸和田市長から性被害訴え

毎日新聞 / 2024年11月28日 18時54分

「女性は不眠やフラッシュバックが続き、治療を続けている」と述べる女性側代理人の雪田樹理弁護士(左)ら=大阪市北区で2024年11月28日午後2時1分、土田暁彦撮影

 大阪府岸和田市の永野耕平市長(46)から性的関係を強いられたとして、府内の女性が約2280万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こしていたことが、女性の代理人弁護士への取材で明らかになった。訴訟は14日付で和解が成立。永野氏が謝罪し、解決金500万円を支払う内容で合意したという。

 永野市長を訴えた女性は代理人弁護士を通じてコメントを発表した。「自ら命を絶つしかない」。永野氏から逃げるため、そう思うまで追い詰められたという女性。「和解をしたからといって許したわけではない」とつづった。

 女性は永野氏から性的な関係を求められたとし、「(永野氏は)同意があったと主張していた」と明らかにした。「泣きながら拒絶する私を、立場や権力を乱用し、人格否定などの言葉の暴力で精神的に支配した」と述べ、普通の精神状態ではいられなくなり、誰にも相談できなかったという。

 現職の市長という立場に触れ、「責任ある立場にふさわしいと思えない」と主張。進退に関しては「岸和田市民が判断なさると思う」とした。

 女性は自らのコメントを発表した理由として、永野氏が反省しているとは思えないとし、「次の被害者を出さない。なんとしても防ぎたい」と述べた。そのうえで「被害に遭う前の元気だった頃のような普通の生活を取り戻したい」としている。【土田暁彦】

原告(女性)からのメッセージ

 本日は、お忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。

 会見に同席し、直接お話しするべきですが、事件のことを話すのはとてもつらく、言葉に詰まり、うまく伝えることができないと思われましたため、書面にて失礼いたします。

 11月14日に和解が成立しましたが、私は、本心では、和解などしたくはありませんでした。ですが、私は、警察に被害届を提出してから、とても長い期間、戦ってまいりました。この裁判でも、判決をいただく選択肢もありましたが、私は、もう、心身ともにぼろぼろです。この春に、裁判所から、和解勧試(かんし)を受け、半年近く協議をしてまいりましたので、ここから、再度、戦っていく気力を奮い起こすことができない状態です。

 もうこれ以上、被告(永野氏、以下同じ)と関わりたくありませんし、裁判を早く終わらせたい思いが強く湧くようになり、諦めたというのが実情です。裁判上の和解をしたからといって、被告を許したわけではありません。今でも本当に悔しいです。

 警察へ被害届を提出した当時は、強制性交等罪から不同意性交等罪への刑法改正は、まだ施行されていませんでした。

 もしも、改正後の刑法が、もっと早く施行されていれば、被告は不起訴にはならなかったのではないかと考えることもあり、無念でなりません。

 被告は、最初から最後まで、同意があったと主張していました。

 被告は公人である市長であり、私はただの一般人ですので、私から見れば、明らかに立場の差があります。

 泣きながら拒絶する私を、立場(地位)や権力を乱用し、恐怖でおさえつけ、人格否定などの言葉の暴力で精神的に支配し、逃げられないようにすることが同意なのでしょうか。

 私は、被害に遭い始めてから、普通の精神状態ではいられなくなり、心が壊れ、嫌だ・怖い・逃げたい・気持ち悪いといった感情がなくなってしまったかのようで、拒絶する気力すらなくなってしまいましたが、これが同意なのでしょうか。

 私は、せいいっぱい拒絶しようとする度に、被告から罵詈雑言(ばりぞうごん)を浴びせられ、「自分は、被告の言うことを全て聞かないと、生きる価値など無い人間なんだ。」と思うようになってしまいました。

 今思い返せば、本当に異常な状況ですが、誰にも相談できず、助けを求めることもできなかった私は、被害を1人で抱え込み、被告の思うままに支配されていたのだと思います。何でも言うことを聞き、言いなりになっていきました。

 被告は、LINEでメッセージを送信する際、私が既読にすると、すぐに送信取り消しをするなど、証拠を残さないひきょうな方法で、私を脅してきました。

 私は、せいいっぱい拒絶してきました。それは、被告自身が一番よく分かっているはずです。被告は、人の気持ちが本当に分からないのか、分かっていてあえて無視しているのか、拒絶されることに興奮を覚えるのか、私には、どれが正解か、あるいはそのどれでもないのか分かりませんが、被告の言動は、何も理解できませんし、普通の考え方ではないと思います。

 私は、被告から、異常な執着をされていると感じていました。それから逃れるためには、自ら命を絶つしかないという極端な選択を考えるまでに追い詰められました。

 私には、このような加害行為に及んだ人物が、責任ある立場にふさわしいとは思えません。ですが、私が辞職すべきだと言ったところで、被告は、自分の非を認めないでしょうし、真に反省し、その反省をもとに行動してきたのであれば、裁判を通じて同意があったと主張することはないと思います。

 被告の進退に関しては、これから、政党や有権者である岸和田市民の皆様が判断なさると思います。

 被告にも娘さんがいらっしゃいますが、大事に大切に育てた子どもが、このような目に遭ったらどう感じますか。私と同じような被害に遭わないと、私の両親の気持ちは分かりませんか。

 被告によるあまりにも身勝手で愚かな行動によって傷つけられた人は、私1人だけではありません。

 私が、自分の言葉で、皆様にお伝えしようと決意したのは、次の被害者を出さないためです。

 私が知っているだけでも、被告からの被害に遭いかけた方が、他にもおられます。

 上記で述べました通り、私には、被告が反省しているとは思えませんので、このまま終わらせてしまえば、今後も、同様の被害者が出る危険性があるのではないかと思っています。私は、なんとしても、それだけは防ぎたいのです。

 私には、被告は、自分の目的を達するためには手段を選ばないように見えました。今回の和解でも、逆恨みされたらどうしよう、今後、何かされるのではないかという恐怖に、ずっとつきまとわれています。

 私の願いは、被告に、今後、二度と私に関わらないでほしい。私の新たな人生の邪魔をしないでほしい。被害に遭う前の元気だった頃のような普通の生活を取り戻したい。ただそれだけです。

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