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「犯罪被害者支援、歩み止めてはならぬ」 兄を失った弁護士訴え

毎日新聞 / 2024年12月2日 9時32分

基調講演を行った伊東秀彦弁護士=千葉市中央区弁天3の千葉市生涯学習センターで2024年12月1日午後1時39分、近森歌音撮影

 犯罪被害者週間(11月25日~12月1日)に合わせ、千葉県や千葉犯罪被害者支援センター(CVS)が1日、千葉市中央区の市生涯学習センターホールで「県民のつどい」を開いた。犯罪被害者の遺族らによるパネルディスカッションや講演に約200人が耳を傾けた。

 パネルディスカッションに参加した沢田美代子さん(68)は次男の智章さん(当時24歳)を失った事件を振り返った。

 「息子さんが事故に遭われました」。2008年11月10日午後8時ごろのことだった。智章さんの上司からの電話に頭が真っ白になった。香取市で、当時19歳の少年が運転する車に故意にはねられた。少年は軽度の知的障害があり、別事件で保護観察中だったという。

 事件後は「なぜ息子はいないのか」という思いに苦しんだが、同じ経験をした遺族たちと話をすることで心が回復していった。現在はCVSの理事を務める。23年4月に遺族らの自助グループ「あおぞら」を発足した。「もし周りに犯罪被害者がいたら、ただうなずくだけでいいので話を聞いてあげてほしい」と呼び掛けた。

 基調講演には、県弁護士会所属で、1994年に六つ上の兄が米国留学中に射殺された伊東秀彦弁護士(44)が登壇。2004年12月に犯罪被害者等基本法が制定されたことを挙げ「それまでは犯罪被害者が十分な支援を得られる制度は整っておらず、画期的な出来事だった」と話した。同法の成立から今年で20年となる。「試行錯誤を繰り返し制度は拡充されてきたが、まだ歴史は浅い。支援策を広げ、定着させる必要がある。歩みを止めてはならない」と訴えた。

 県内で、殺人や傷害致死などの犯罪被害者らへの支援を定めた犯罪被害者等支援条例を制定する自治体は、県と全54市町村のうちの15市町にとどまっている。【近森歌音】

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