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水郡線、次世代につなぐ 全線開通90周年、赤字で存続の岐路に

毎日新聞 / 2024年12月2日 11時30分

帝京安積高書道部員が即興で仕上げた作品の前で、だるまに目を入れた内堀雅雄知事(左)と下山貴史JR東日本水戸支社長=福島県塙町の塙農村勤労福祉会館で2024年12月1日、根本太一撮影

 JR水郡線の全線開通90周年を祝う式典が1日、福島県塙町の塙農村勤労福祉会館であった。内堀雅雄知事や路線を管轄するJR東日本水戸支社の関係者、沿線市町村長ら約300人が出席。ローカル線を取り巻く環境は厳しいが、先人の思いを次の世代につないでいこうと誓い合った。【根本太一】

 式典では、帝京安積高(郡山市)書道部員が「窓に移りゆく景色 列車の音は今日も私達の心に響いている」との応援メッセージを披露し、祝賀ムードを盛り上げた。

 水郡線は、水戸駅(水戸市)―安積永盛駅(郡山市)間の137・5キロ。明治時代、塙町初代町長の白石禎美氏が地域振興を目的に誘致運動を起こしたのをきっかけに、1934年12月4日に全線が開通した。

 しかし、自動車が普及し、乗客の大半を占める通学の高校生らが少子化によって減少。JRによると、福島側の2023年度の収支は約16億円の赤字となって不採算が続き、全国の地方路線同様に存続の岐路に立っている。

 内堀知事は「水郡線に乗って関わり、共に守っていく決意。90年と言わず100周年、150周年を迎えられるよう、皆さんで心を一つにしよう」とあいさつした。

 下山貴史JR水戸支社長は「JRと地元とでよりいっそう連携して利用促進に結びつけたい」と述べる一方、「その上で今後の水郡線の在り方について一緒に考えていきたい」と含みを持たせた。

 周辺の町役場には、沿線のジオラマ展示や特産品ブースも設けられた。

JR水郡線の赤字区間

                     収支 1日平均通過人員

茨城 常陸大宮―常陸大子 ▼13億1400万円     802人

福島 常陸大子―磐城塙  ▼ 5億2100万円     147人

   磐城塙―安積永盛  ▼10億6400万円     839人

 ※JR東日本調べ(2023年度。▼はマイナス)

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