京都で「山陽新幹線50年展」 250点展示、大動脈の歴史たどる
毎日新聞 / 2024年12月2日 12時30分
山陽新幹線が全線開業してから来年3月で50年となることを記念した「山陽新幹線50年展」が京都鉄道博物館(京都市下京区)で開催されている。西日本の主要都市を結ぶ日本の大動脈として、社会・経済に大きな役割を果たしてきたその歴史、特徴を約250点の資料でたどる。【矢倉健次】
展示は「歩み」「走った車両」「楽しみ方」の3コーナーで構成される。エントランスで現在の山陽新幹線で走行中の車両が勢ぞろいした特大の写真パネルに迎えられ、展示室に入ると広島駅で実際に使われているアナウンスが流れる。「歩み」では、難工事だった六甲トンネルの双方の入り口に1972年に掲げられた佐藤栄作首相と磯崎叡国鉄総裁(いずれも当時)の「六甲隧道(ずいどう)」と記された扁額(へんがく)の書が目を引く。岡山―博多間の「三大難工事」だった安芸トンネル、新関門トンネル、福山駅高架化にまつわる「貫通石」などは、当時の関係者の思いが伝わる。1975年の全線開業直前に広島―博多間で実施された招待試乗の試乗券などは珍しい資料だ。
「走った車両」では、JR西日本が開発し97年に当時世界最速の時速300キロ営業運転を実現した500系の資料が充実している。試験電車のWIN350の連結器カバーや静電アンテナの実物も展示されている。3面の壁に映し出されるイマーシブムービーは現在、新大阪―博多間の「こだま」として運用されている500系の運転席から見た風景を21分間にわたって写しだし、博多―博多南間の映像もある。
「楽しむ」には新大阪―博多間のグリーン席車内販売などに従事するパーサーの歴代制服を展示。2階建て車両の2階部分で営業した食堂車で実際に使われた机、椅子、ステンドクラスなどは、当時の雰囲気がしのばれる。現役のパーサー、2000年の営業終了まで働いた食堂車スタッフのインタビューも掲載されている。18年の運転開始以来、変わらぬ人気を誇る「ハローキティ新幹線」の関連グッズなども充実している。同館関係者は「都市を線で結んだだけでなく、そこから面のように交通網などが広がり、交流が生まれた山陽新幹線の魅力をさまざまな資料から感じてほしい」と話している。15日まで。入館は午前10時~午後4時半。原則水曜休館。入館料は一般1500円など。同館(0570・080・462)。
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