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厚労省が年金受給者の子の加算拡充案 配偶者加給年金は縮小へ

毎日新聞 / 2024年12月3日 14時0分

厚生労働省が入る中央合同庁舎第5号館=東京・霞が関で、竹内紀臣撮影

 厚生労働省は3日の社会保障審議会年金部会で、家族を養う厚生年金受給者に加算する加給年金制度のうち、18歳未満の子どもがいる場合の加算額を引き上げる案を示した。第1子と第2子は年23万4800円、第3子以降は年7万8300円を老齢厚生年金に上乗せしているが、第3子以降の加算額を第1子と第2子にそろえた上で、一律で増額する。

 現在、支給対象となっていない老齢基礎年金でも同様に加算を新設する。子育て中に定年退職を迎え、主な収入が年金になる親の増加を想定し、多子世帯をはじめとする子育て世帯の支援強化が狙い。

 一方、65歳未満の配偶者がいる場合に年間で最大約41万円加算される配偶者加給年金は、将来的に支給額を縮小する方向で検討する。

 加給年金が支給される要件は、厚生年金に20年以上加入し、年金が受け取れる65歳以上になった時点で、同居するなど生計が同一となる年収850万円未満の配偶者や子どもがいる場合。

 見直し案では、厚生年金の加入期間の要件を20年以上から10年以上に短縮する。加算の増額幅は調整中だが、国家公務員の子どもの扶養手当(月1万円程度)を参考にする。障害年金や遺族年金でも加算を受け取れるようにする。

 加算対象は老齢厚生年金で3万6000人、老齢基礎年金は2万2000人。障害年金や遺族年金も含めると約33万人に及ぶ。

 約92万人が受給する配偶者加給年金は、夫婦の年齢差によって加算される側面があるため公平性の観点から見直す方向だが、現在受給している人がすぐさま不利益を被らないよう縮小する時期を検討する。

 また、低所得者を対象に2030年となっている国民年金保険料の納付猶予期限を5年延長する案も示した。

 この日の部会では、第3子以降の加算額を他とそろえる案には賛同が多かったが、一律で増額させる案には「高齢期の子育て支援は公的年金制度で支援すべきことなのか」と疑問視する声もあった。【宇多川はるか】

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