神奈川、AI活用して戦争体験を語り継ぐ取り組み 質問すると…
毎日新聞 / 2024年12月5日 8時15分
原爆や戦争の体験者が高齢化し、体験を語り継ぐことが難しくなる中、神奈川県は人工知能(AI)を活用して証言を次世代に残す取り組みを進めている。質問すると、事前に収録した体験者の映像と証言の中からAIが最適な部分を選び出し、モニターに映して回答する。都道府県では初の試みで、来年3月までのお披露目を目指す。【遠藤和行】
県は専門業者に委託し、10月下旬に横浜市内で2日間にわたりインタビューの収録を終えた。証言したのは、長崎で被爆した市内在住の西岡洋さん(93)。13歳の時に爆心地から約3・3キロの学校で被爆し、けがはなかったという。
収録は計12時間行われ、西岡さんは椅子に座って身ぶりを交えながら語った。その中で被爆時については「よくピカとかピカドンと言いますね。懐中電灯が光ったような印象を持たれると思いますが、自分の周り全体が、ピンクの混じった黄色の液体の中に一瞬、放り込まれたようになりました。そういうピカです」と表現した。
今後は、被爆当日の証言を中心に約20分にまとめ、さらに証言を基にして質問への回答を作成する。質問は「戦争中はどんな暮らしをしていたか」、「原爆が落ちたときの様子は」、「若い世代に最も伝えたいことは何か」――など多数を想定している。西岡さんは「記録に残すのはありがたいことで、原爆の被害を知ってもらう一助になってほしい」と述べた。
県が委託したのは、ソフトウエア開発のベンチャー企業「シルバコンパス」(浜松市)で、同社開発の「映像対話型語り部支援システム」を使う。「語り部継承プロジェクト」担当の阿部恭久さんは「映像は実際のもので、リアルな体験をリアルに伝え、本人と話しているような経験ができる」と解説。その上で「回答は、収録して保存した映像や音声だけを使うので、AIが勝手に学習して意図しないことを話す危険性はない」と強調する。
県の担当者は「一方的な証言映像より、質問に対して返答がある方が強く印象に残り、次世代への継承に高い効果が期待できる。特に子どもや若者に利用してもらいたい」と話している。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
ノーベル平和賞、代表団以外の被爆者もオスロへ 「力をもらいたい」
毎日新聞 / 2024年12月6日 12時31分
-
朗読会「核無くなるまで」=原爆絵本、語り続ける女性―被爆者の思い言葉に乗せ
時事通信 / 2024年12月2日 15時5分
-
「どうせ早く死ぬ」被爆2世の男性は酒におぼれた 「見えない恐怖」と闘い続けて見つけた使命
まいどなニュース / 2024年11月30日 17時0分
-
AI被爆証言装置 被爆80年に向け製作 被爆者の証言を収録
広島テレビ ニュース / 2024年11月18日 18時54分
-
がれきの上に立つ血だらけの母、大八車に山積みの遺体…「初めて、絵を描くことが苦しかった」 福岡の美術学生がヒロシマとナガサキに向き合って抱いた平和への願い
47NEWS / 2024年11月11日 10時0分
ランキング
-
1「長期避難世帯」認定住民が訴え 「戻る前に死ぬ」、輪島・町野
共同通信 / 2024年12月8日 16時58分
-
2ヒートショックを防ぐための5つの対策 冬場の入浴時は要注意
ウェザーニュース / 2024年12月8日 13時10分
-
3首相、参院選へ準備急ぐ=総裁選の党員票比重見直し―自民
時事通信 / 2024年12月8日 18時11分
-
4「私が稼いできたお金をみなさんに還元」 大阪・泉大津市長選告示で立花孝志氏が第一声
産経ニュース / 2024年12月8日 15時13分
-
5「性的関係を強要」訴訟で和解、岸和田市長の処分は離党勧告のまま…大阪維新の会「一緒にやっていくのは難しい」
読売新聞 / 2024年12月8日 20時56分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください