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死刑制度見直しの動きも 袴田巌さん無罪で問われる「究極の刑罰」

毎日新聞 / 2024年12月15日 11時0分

静岡地検の山田英夫検事正から謝罪を受けた袴田巌さんと姉の秀子さん(右)=代表撮影

 1966年に静岡県で一家4人が殺害された事件で、死刑囚となった元被告の再審無罪が確定しました。日本で死刑制度の見直しは進むのでしょうか。記者が解説します。

 記者 事件で一度は死刑とされた袴田巌さん(88)に対するやり直しの裁判(再審)が開かれ、当初の判決は間違っていたとして静岡地裁が9月に無罪を言い渡しました。死刑囚が再審で無罪になるのはこれで戦後5例目です。死刑は個人の命を絶つ究極の刑罰です。実行されれば取り返しがつかず、死刑制度のあり方が問われる事態になりました。

 Q 見直しに向けた動きはあるの?

 A 死刑に反対する日本弁護士連合会の呼び掛けで、有識者たちが議論を重ね、11月に報告書をまとめました。メンバーには国会議員のほか、日本の刑事司法を担う検察・警察の元トップも含まれていました。死刑の将来像を考える上で、重みのある提言と言えるでしょう。

 Q どういう内容なの?

 A 日本では死刑を支持する国民が多いとされています。報告書はその理由を「犯罪被害者・遺族の無念さと悲しみに共感しているためだ」と分析し、被害者側が孤立した状況に追い込まれてしまうのは日本の被害者支援に課題があるためだとしました。また、死刑があることで犯罪を思いとどまるという考えに「科学的な証明はない」と指摘しています。報告書は結論として、今の死刑制度には放置できない多くの問題があり、制度を続けるか廃止するかや、改革・改善に関する検討をするよう国に求めました。

 Q 制度は変わるのかな?

 A 政府は「国民から支持され、見直しは必要ない」との立場です。ただ、国際的には死刑を廃止している国が増えているのも事実です。日本はこのままでいいのか、みんなで考えるべきタイミングに来ているのかもしれません。回答・三上健太郎(社会部東京グループ)

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