宇津救命丸、37年ぶりの成人向け新薬 「現代人のサポート役に」
毎日新聞 / 2024年12月20日 13時56分
1597年創業の製薬会社「宇津救命丸」(栃木県高根沢町上高根沢)が、生薬製剤「宇津五疳強心丸(うづごかんきょうしんがん)」(第2類医薬品)を発売した。15歳以上を対象とした薬の新発売は、同社として37年ぶりという。宇津善行社長は「『大人の救命丸』を目指した。多忙やストレスで心身のバランスが崩れがちな現代人のサポート役になりたい」と話した。同社オンラインショップで限定販売する。
子どもの薬「私にも」の声に応え
宇津五疳強心丸は、心臓の働きを助けるセンソやジャコウ、神経の緊張を和らげるゴオウやユウタン、滋養強壮によいクコシやハンピなど12種類の生薬を配合。生活の乱れやストレスによる具体的な病気ではない体の不調を感じる成人向けの処方だという。宇津社長は「乳幼児の死亡率が高かった江戸末期、宇津救命丸は子どもの命を救うための薬になった。時代を経た現在、子育て世代やその上の年代の方から『私にも飲める薬はないのですか』と尋ねられることが増え、期待に応えたいと考えた」と新薬発売の経緯を説明した。
既存の処方に不調を整える効果
宇津救命丸は「五臓」のバランスが崩れて精神と身体の諸症状(虚弱体質や神経過敏など)が現れるとする漢方の考え方「小児五疳」に基づく。同社は、成人向けの新たな薬でも五疳の考え方を重視し、一方で新規の漢方薬の臨床開発や承認は非常にハードルが高いことから、既存の処方の中で求める効果と合致するものを探究。昭和化学工業(滋賀県甲賀市)が製造販売権を持つ生薬製剤「回春仙」に、自律神経や五臓のバランスの乱れからくる不調を整える特徴があると分かり、製品名を宇津五疳強心丸として新たに販売することを決めた。
同社は、下野国主の宇都宮家の殿医だった初代が帰農後も半農半医を家業とし、宇津社長が十九代目。59年から東京都に置いていた本社を2023年、64年ぶりに創業地の高根沢に移した。宇津社長は「原点に回帰し、創業以来の『施薬の精神』に立ち返ってリブランディングを進める」と抱負を語った。
7粒入り2100円、30粒入り8400円(いずれも税別)。販売はオンラインショップ(http://uzuonline.shop14.makeshop.jp/)、問い合わせは同社(029・675・0425=平日午前9時~午後5時)。
【藤田祐子】
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