再審制度、国が見直し検討へ 不明確なルール「証拠隠し」の要因に
毎日新聞 / 2024年12月20日 20時17分
確定した刑事裁判をやり直す再審制度の見直しについて、法務省が早ければ来春にも法制審議会(法相の諮問機関)への諮問を検討していることが関係者への取材で判明した。現行の再審制度には請求後の具体的なルールが整備されておらず、「証拠隠し」や審理の長期化を招く要因となっているとの批判があった。法務省に設置された有識者協議会の議論を踏まえ、具体的な諮問内容を判断するとみられる。
刑事手続きを定めた刑事訴訟法には500を超える条文があるが、再審に関する規定はわずか19条にとどまる。刑訴法が1948年に制定されてから、再審制度に関する規定は変わっていない。
刑訴法には、再審を請求した後の証拠の開示方法や審理の進め方といったルールが定められておらず、裁判所によって運用が異なる「再審格差」が生じているとの指摘があった。
2024年10月に、戦後5事件目となる死刑囚の再審無罪が確定した袴田巌さん(88)のケースでも、再審制度の不備が浮き彫りになった。
袴田さんは1966年に静岡県で一家4人を殺害したとする罪に問われ、死刑が確定。袴田さん側は81年と2008年の2度、再審を請求した。ただ、再審無罪につながった証拠が検察側から弁護側に開示されたのは第2次再審請求審の最中だった10年になってから。結局、逮捕から再審無罪が確定するまで、58年の月日を要した。
日本弁護士連合会は23年、証拠開示のルール整備や再審開始決定に対する検察側の不服申し立ての禁止を盛り込んだ刑訴法改正案を公表し、見直しを求めてきた。法務省はこれまで法改正に慎重な姿勢を示してきたが、近年、再審開始決定が相次いでいることを踏まえ、見直しに向けた議論は避けられないとみている模様だ。
法務省には現在、刑事手続きのあり方を検討する有識者協議会が設置されていて、11月に再審制度の議論に向けた論点を整理した。年明けにも次回会合を予定している。【三上健太郎】
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
再審制度見直し議論へ=証拠開示の在り方論点―来春にも法制審
時事通信 / 2024年12月20日 20時11分
-
【袴田さん再審無罪確定】静岡県警進める“事件当時捜査の事実確認”年内にも結果公表へ…再審制度巡る動きも
Daiichi-TV(静岡第一テレビ) / 2024年12月20日 17時12分
-
再審制度、見直し検討の方向で調整 法務省
日テレNEWS NNN / 2024年12月20日 14時40分
-
再審制度の見直しへ 法務省が「法制審議会」に諮問 弁護士を中心に「審理が長期化している」と批判の声も
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年12月20日 11時53分
-
再審制度、見直し議論へ 刑訴法改正、法制審で検討
共同通信 / 2024年12月20日 11時0分
ランキング
-
1「検察なめんなよ」「反省しろよ少しは。何を開き直ってるんだよ」プレサンス元社長の国賠訴訟 検事の取り調べ映像を法廷で再生
ABCニュース / 2024年12月20日 19時43分
-
2最後尾まっしぐら、無言で刺す 北九州中3殺傷見えぬ動機 不条理犯行に生徒「眠れない」
産経ニュース / 2024年12月20日 19時31分
-
3【中学生2人殺傷】事件後にカツ丼を出前 家の中は「ゴミの山だった」近所でトラブルも 北九州市
FBS福岡放送ニュース / 2024年12月20日 17時36分
-
4直径2cmの球形チーズ食べた1歳男児、窒息し死亡…事故情報は4件あり初の死亡事例
読売新聞 / 2024年12月20日 15時35分
-
5衆院選非公認「とんでもなくひどい」=自民・高市氏が執行部批判
時事通信 / 2024年12月20日 19時25分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください