川崎重工、40年前から架空取引繰り返したか 週内にも調査結果公表
毎日新聞 / 2024年12月23日 5時0分
川崎重工業(本社・神戸市)が海上自衛隊の潜水艦乗組員らに物品を提供していた問題で、川重側が不正な資金を捻出するため、少なくとも約40年前から取引先との架空取引を繰り返していたことが、関係者への取材で明らかになった。当初は業務に必要な物品を購入していたが、約20年前からは海自隊員らの私物を提供していたことも判明。海自側の要求が次第にエスカレートし、癒着を強めたとみられる。
川重は6月に外部有識者による特別調査委員会を設置。調査委が不正の実態を調べており、週内にも調査結果を公表する見通しだ。
この問題は大阪国税局の税務調査で発覚した。防衛省などによると、潜水艦の点検や修理業務に絡み、川重は正規の資材発注などと装い、複数の取引先を介した架空取引を重ねていたことが分かっている。この取引で不正な資金を捻出し、取引先にプールさせていたという。
関係者によると、調査委が川重社員やOBらに聞き取りをするなどした結果、架空取引は40年近く前から始まったとみられることが判明した。不正な資金を使い、海自隊員らが作業で使う安全靴やロープ、雨がっぱなどを購入。海自内の備品が不十分で、品質が悪かったことが理由だった。
物品授受が川重、海自の両者で慣例化していく中、次第に海自側の要求がエスカレート。約20年前からは家電製品や家庭用ゲーム機、釣り具など業務と関係のない物品も川重側が購入するようになったという。飲食接待も確認された。
不正な資金の一部は、取引先が協力会社を使って帳簿に計上しないよう操作していたという。記録に残らなくなった時期は定かではないが、私物購入が始まって以降とみられる。防衛省はこれまで、不正な資金は年2億円程度としている。
潜水艦の修理では海自隊員らが数カ月間にわたり、社員と共同作業を進める。川重の宿泊施設に滞在して業務を進める特殊性から両者に仲間意識が生まれ、癒着が広まったとみられる。
一方、供与を受けた海自隊員は相当数に上るとみられるが、調査委は具体的な人数まで特定できなかった模様だ。防衛省は7月、防衛相直轄の防衛監察本部による「特別防衛監察」の実施を表明。潜水艦の乗組員ら約1500人を対象にしたアンケート調査に乗り出すなど実態解明を進めている。
川重は「調査内容についてはお答えできない」としている。【井手千夏、高良駿輔】
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