「安全に運航できない」 JR九州、日韓航路撤退 浸水リスク拭えず
毎日新聞 / 2024年12月23日 19時58分
JR九州の子会社「JR九州高速船」が日韓を結ぶ高速船「クイーンビートル(QB)」の浸水を隠して運航を続けていた問題で、JR九州の古宮洋二社長は23日、8月から運休中のQBの運航再開を断念し、同社が1991年に開設した日韓航路から撤退すると発表した。浸水を招いた船体の亀裂を防ぐ対策が難しく、安全を担保できないと判断。この日開かれた臨時取締役会で全員一致で決議した。
JR九州とJR九州高速船は、浸水隠しが発覚した8月以降、軽合金(アルミ)でできた船体の恒久的な安全対策を検証。11月にJR九州の第三者委員会から調査報告書を受け取った後も船首部分の溶接方法を変えて再開する意向を示していた。しかし、アルミ溶接は技術的に難しく、安全対策をしても亀裂が発生するリスクを完全に拭い去ることができなかったという。
23日の記者会見で古宮社長は「運航再開を期待していた皆さまにおわび申し上げたい」と謝罪。「安全に運航できないのが撤退の理由。船が有利なこともあったが、飛行機の方が便数も増えて有利になった」と説明し、別の船の導入は時間を要するため得策ではないと判断したという。
JR九州高速船は、2023年度末で約70億円の債務超過となっているが、古宮社長は船舶事業撤退について「業績的には大きくない」とし、グループへの影響は軽微との認識を示した。今後、国土交通省に事業の廃止手続きをして、会社は福岡海上保安部の捜査の対応などを終えた後に清算する。
JR九州高速船の従業員約70人は、希望を踏まえJR九州本社やグループ会社に転籍させる。約60億円で建造したQBはJR九州高速船がリース料を払って運航しており、今後についてはリース会社と協議して決める。JR九州高速船の大羽健司社長は「こういう結論に至り、社員に申し訳ない。雇用や働き先で生活に困るようなことは絶対にしない」と強調した。
JR九州の判断について、事業を所管する国交省外航課は「事業の継続や廃止の判断については事業者判断によるものと認識している」とコメントした。
浸水問題は、24年2月に浸水を確認しながら国交省に報告せず、3カ月以上運航を続けていたもので、8月の国交省の抜き打ち監査で発覚した。国交省は9月、JR九州高速船に海上運送法に基づく安全確保命令や安全統括管理者らの解任命令を出した。福岡海上保安部は10月、船舶安全法違反(臨時検査不受検航行)などの容疑で、同社と船内を家宅捜索している。【下原知広、植田憲尚】
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