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「学んだこと伝え続ける」10歳の震災伝承者 復興庁から感謝状

毎日新聞 / 2024年12月25日 9時15分

母親の智恵さん(中央)と共に復興庁から感謝状を贈呈された佐々木智桜さん(左)=岩手県釜石市で2024年12月20日午後2時5分、奥田伸一撮影

 岩手県釜石市で東日本大震災の語り部として活動する佐々木智桜(ちさ)さん(10)に復興庁から感謝状が贈られた。同時に表彰された母智恵さん(42)と共に昨春から震災伝承に取り組む姿が評価された。智桜さんは今秋、民間資格の防災士を県内最年少で取得するなど防災学習も深めており「学んだことをしっかり引き継いでいきたい」と笑顔で語った。

 智桜さんは震災からちょうど3年後の2014年3月11日生まれ。津波被害が大きかった北部の鵜住居(うのすまい)地区で家族と暮らす。震災では父智之さん(42)の母親が犠牲になり、姉は今も行方不明だ。2人は智桜さんの祖母と伯母に当たる。

 智桜さんが震災伝承に関わり始めたのは22年12月。地元の伝承・防災学習施設「いのちをつなぐ未来館」に勤める智恵さんから、釜石市が認定する「大震災かまいしの伝承者」の研修会を受講するよう勧められ、二つ返事で応じた。現在78人いる伝承者で最年少だ。

 更に23年3月から、同館の見学者や企業研修で訪れた人らを対象に計19回「地震が起きたら何も持たなくていいから早く逃げて。命さえ助かればいいんだよ」など両親から教わった心構えや自身が学んだ防災知識を伝えてきた。防災士は智恵さんが先に取得しており、智桜さんは智之さんと9月に受験し、2人とも合格した。

 復興庁の感謝状は被災地で震災伝承や防災知識の普及に取り組む人が対象で、24年度は岩手、宮城、福島3県の計52人。釜石では佐々木さん親子の他、釜石観光ガイド会の藤原信孝さんに贈られた。

 20日にいのちをつなぐ未来館で開かれた授与式では、保科太志・岩手復興局長から親子そろって感謝状を受け取った。智恵さんは満面の笑みを浮かべる智桜さんを見つめながら「災害を自分事として考えることを忘れず、私も気を引き締めて頑張りたい」と語った。【奥田伸一】

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