水道水のPFAS濃度、26年から検査義務へ 基準超で原因を特定
毎日新聞 / 2024年12月24日 18時34分
環境省は24日、水道水に含まれる有機フッ素化合物(PFAS)の濃度を従来の暫定目標値から、水道法に定める「水質基準」に格上げする方針を決めた。2026年4月から水道事業者などに検査を義務づける案を有識者検討会に示し、了承された。来春にも正式決定する。
PFASは1万種類以上あるとされる有機フッ素化合物の総称。代表的なPFOSとPFOAは発がん性などが指摘される。食品の包装紙や泡消火剤などに幅広く利用されてきたが、分解されにくく環境中に長く蓄積することなどから、09年に国際的な規制の対象となった。日本も化学物質審査規制法でPFOSとPFOAの製造や輸出入を禁じ、20年に水道水1リットル中の暫定目標値を「PFOSとPFOAの合計で50ナノグラム」(ナノは10億分の1)と決めた。ただし努力義務で法的拘束力はなかった。
検討会では、水道水中のPFOSとPFOAが直近の3年連続で目標値の50%を超す地点が存在するなど、水質基準への格上げ要件を満たしていることを確認。2種合計で1リットル当たり50ナノグラムを基準とし、3カ月に1回の頻度で検査を義務づけることを了承した。検出濃度が低ければ検査頻度を減らすことも可能とする。
今後、水道法の省令を改正し、26年4月から水質基準の対象にPFOSとPFOAを加える。基準を超えた場合、水道事業者には原因の特定や改善措置が義務づけられる。改善しない場合、国土交通省が改善指示を出す。従わない場合は給水停止命令や罰則もある。
一方、環境省と国交省は24日、全国の社宅や療養所などで主に自家用に使う専用水道のPFAS調査結果を初めて公表した。8177カ所のうち9月末までに1929カ所から報告があり、このうち20年度以降、計42カ所で暫定目標値を超えていた。10月以降の報告で、さらに計2カ所も目標値を超えたという。
目標値を超えた計44カ所のうち国が管理する専用水道は6カ所。最も濃度が高かった航空自衛隊芦屋基地(福岡県)では、目標値の30倍に当たる1リットル当たり1500ナノグラムが検出された。その他に、陸上自衛隊東立川駐屯地(東京都)で同343ナノグラム▽空自府中基地(同)で同245ナノグラム▽府中刑務所(同)で同204ナノグラム▽陸自小平駐屯地(同)で同200ナノグラム▽空自岐阜基地(岐阜県)で同86ナノグラム――が検出された。
44カ所のうち、26カ所は上水道への切り替えなどを進め、14カ所はボトル水を配布するなどの応急措置をしているという。残る4カ所は今後対応する。
国設でない38カ所については、都道府県別の箇所数のみが公表され、東京19▽神奈川5▽石川3▽大阪3――などだった。浅尾慶一郎環境相は24日の閣議後記者会見で「国管理の専用水道については取水先を変えるなどしっかりと対応していきたい」と述べた。【渡辺諒、山口智】
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