事件後SNSにあふれたデマ 中学生批判する投稿も 北九州中3殺傷
毎日新聞 / 2024年12月26日 5時32分
北九州市小倉南区のファストフード店で中学3年の男女2人が殺傷された事件で、男子生徒(15)に対する殺人未遂容疑で逮捕された無職の平原(ひらばる)政徳容疑者(43)は事件の1年以上前に離婚し、騒音トラブルを巡って地域から孤立していた状況が明らかになってきた。一方、逮捕から26日で1週間となる中、面識のない中学生を狙ったとみられる動機は見えてこない。何が事件へと駆り立てたのか。福岡県警は全容解明を急いでいる。
不安で誰もが情報を求める中で…
「犯人は外国人」「刺された女子生徒の父親は警察署長」――。今回の事件では、根拠のない臆測や不安をあおるような偽情報がSNS(ネット交流サービス)上にあふれた。夜間にファストフード店に立ち寄った中学生を批判するような心ない投稿もあり、専門家は新たな被害を生むとして注意を呼びかけている。
容疑者逮捕に至ったのは事件発生から5日後だった。その間に県警が防犯カメラ映像を公開しないことにSNS上で「犯人は外国人だから」などのデマが飛び交った。「20日までに新たな事件を起こす」などと脅迫する内容のメールなどが福岡県内外の自治体に送られ、一部の学校では部活動を中止して下校を早めるなどの対応を余儀なくされた。県警によると、24日時点で関連の事件は確認されていない。
事件の当事者家族を支援し、地域住民らに対する中傷被害なども目の当たりにしてきたNPO法人「ワールドオープンハート」(仙台市)の阿部恭子理事長は「悲惨な事件が起きると不安が広がり、誰もが情報を求める」と指摘。「デマや中傷は事件当事者も目にする可能性があり、影響は深刻だ。拡散すればデマに加担することになり、利用者は冷静に対応してほしい」と話す。【佐藤緑平】
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