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「プライベートバンカー」主演・唐沢寿明さん ウソでもやると人生変化

毎日新聞 / 2025年1月1日 6時0分

1月9日開始のテレビ朝日系ドラマ「プライベートバンカー」に主演する唐沢寿明さん=東京都港区で2024年11月26日、猪飼健史撮影

 NHK大河ドラマ「利家とまつ」(2002年)や、故山崎豊子さん原作の「白い巨塔」(03~04年、フジテレビ系)など、数々のヒット作で主演を張ってきた人気俳優の唐沢寿明さん。1月9日にスタートする連続ドラマ「プライベートバンカー」(テレビ朝日系、木曜午後9時)に主演する。若手時代は世間に「爽やかな好青年」とのイメージで見られ、本当の自分とのギャップに困惑したものの、「ウソでもいいからやってみると、人生変わっちゃうもの」と振り返る。【井上知大】

オリジナル脚本「残るのはしんどい作品」

 唐沢さんが新ドラマで演じるのは、豊富な金融知識と人脈を駆使して、困難な状況を逆転させていく主人公・庵野甲一。富裕層を相手に資産管理を行うスペシャリストの“プライベートバンカー”だ。

 オリジナル脚本の今作について「脚本の力とか、みんなで考えて作っていくというのは、楽できないでしょ。でも、しんどい作品の方が残るんですよ、最後は。すごくいいなと思っているんです」と力を込める。

 庵野は一見、物腰の柔らかい紳士だが、依頼主の資産を守るためには手段を選ばず、時に非情な一面をのぞかせる。そんな役柄は、今作と同じ西浦正記監督が手がけた「フィクサー」(23年、WOWOW)で演じた、政財界で暗躍する主人公・設楽拳一をほうふつとさせる。

 「腹が見えないところはちょっと似ているかな。庵野は変わった男。たぶん、最終回まで(本当は何を考えているのか)見えないと思う」

共演の鈴木保奈美さん「バズるかも」

 第1話で庵野は、資産7000億円の大富豪、天宮寺丈洋(橋爪功さん)の依頼によって、小さなだんご屋を営む飯田久美子(鈴木保奈美さん)の前に現れる。久美子は金融知識がないばかりに、ある投資話を信じてしまい、多額の負債を抱え窮地に立たされていたところだった。

 ドラマで大切なのは「脇役が跳ねること」だと唐沢さんは言う。「主役はどうでもいいの。ストーリーテラーなんだから。主役ばかり目立とうとしたら、絶対当たらない」とし、「今回、保奈美ちゃんにはすごく期待している。演じる久美子は視聴者が感情移入しやすくて、(第2話以降も登場する)彼女が毎回、何をやるのか、バズる可能性はあるね。結構、面白いシーンがあるからさ」と声を弾ませた。

好青年イメージ「俺が一番嫌いなキャラ」

 10代で俳優を志し、エキストラや仮面ライダーの敵役ショッカーのスーツアクターなど下積みも経験。「お金がなくて悔しかったり、世の中を恨んだりというのは一切なかったです」と言い、目の前の仕事に集中した。

 「この道でやっていける」と思えたのは、鈴木さんと共演した「愛という名のもとに」(1992年、フジテレビ系)の頃。出世作となった一方で、その頃から世間には長い間、「爽やかな好青年」というイメージを抱かれ戸惑った。「(自分とは)全然違うし、むしろ俺が一番嫌いなキャラ。だけど、そのお陰で今の自分がある」とも。

「ショッカー仲間」のまねをしたら…

 唐沢さんは「自分が変われば、周りが変わってくれる。それで人生が変わる」と話し、「ショッカー時代」の仲間のエピソードを披露した。当時の唐沢さんは、俳優を目指す努力を惜しまなかったが、同時にどこかピリピリして周囲に怖がられていたという。

 「ショッカー仲間とは、今でもたまに焼き肉に行ったりするのですが、その中の一人に、いつもニコニコして『すみません、すみません』って謝ってばかりのやつがいた。でも人気者だった。なんでだろうと思って、ある日、たった1日だけその人のまねをしてニコッとしながら過ごしたら、すごい評判が良くてさ」

 このときの経験や、その後、世間に貼られた「爽やかな好青年」というレッテルをも受け入れながら仕事に取り組んだことから「ウソでもいいからやってみると、なんていうの、人生それで変わっちゃったりするもんなのよ」と語った。

江口洋介さんと話した「脱却していかないと」

 90年代のいわゆる「トレンディードラマ」などで活躍した後、CG(コンピューターグラフィックス)アニメ映画の金字塔「トイ・ストーリー」(日本公開96年)の日本語吹き替え版で主人公ウッディの声を演じ、脚本家・三谷幸喜さんの初監督映画「ラヂオの時間」(97年)で主役に抜てきされるなど、活躍の場を広げてきた。

 そんな唐沢さんの代表作の一つが、ドラマ「白い巨塔」だ。大学病院を舞台に、野心的な外科医・財前五郎と、彼の同窓で出世に無関心な内科医・里見脩二の対照的な生き方が描かれる。唐沢さんが財前を、「愛という名のもとに」でも共演した江口洋介さんが里見を演じた。

 「トレンディードラマをやっていた頃は、バブルの名残があって社会はまだ裕福でした。それが変わり始めたのが『白い巨塔』の頃。江口(洋介)君と、『俺たちは、アイドル俳優のような立ち位置でいい思いもさせてもらったけれど、脱却していかないとね』と、すごく真面目に話し合いました」

亡くなった西田敏行さん「二人といない方」

 同作では、24年10月に亡くなった西田敏行さんとも共演。以来、公私にわたり親交があった。

 窪田正孝さん主演のNHK連続テレビ小説「エール」(20年)では、福島県出身の主人公の父親を演じ、福島弁を話す役柄に。「そのとき、朝の情報番組に出演することになり、福島弁であいさつをしようと思って、(福島が故郷の)西田さんに『ちょっと教えてくれませんか』って電話したら、丁寧にいろいろやって教えてくれて。本当に人に優しい方でした」と振り返る。

 「石原裕次郎さんや高倉健さんが亡くなられたときも、『ああいう人はもういないだろう』って思いましたが、西田さんは別の(ジャンルの)希少性がありますよね。二人といない方。あの人に代わる俳優はいません」と故人を惜しんだ。

感謝と恩返しの震災復興イベント

 長年、第一線で活躍してきたにもかかわらず、「自分で何かを成し遂げたと胸を張って言えないですね。誰かに助けてもらってきた」と振り返る。若かりし頃の自分を見いだし、支えてくれた人たちを念頭に「運が良かった。人に恵まれました」と感謝の言葉を繰り返した。

 近年は、東日本大震災や熊本地震の被災地を支援しようと、クラシックカーラリーのチャリティーイベントの発起人を務めている。現地で、妻で俳優の山口智子さんを助手席に乗せ、愛車を運転する姿も披露。そうした活動は「恩返し」との思いからだ。

 インタビューでは、一言ごとにピリッとスパイスの利いた冗談で記者を笑わすサービス精神も健在。東京都台東区出身で根っからの「下町育ち」。地元の先輩は、毒舌で知られる俳優でタレントの毒蝮三太夫さんというのが自慢の一つだ。

 一昨年に還暦を迎えて円熟味も増す中、新ドラマ「プライベートバンカー」で演じる謎めいた男、庵野甲一をどう見せてくれるのか楽しみだ。

唐沢寿明(からさわ・としあき)

 1963年6月3日生まれ。東京都出身。88年、NHK連続テレビ小説「純ちゃんの応援歌」で注目される。96年に刊行した「ふたり」(幻冬舎)はベストセラーに。「不毛地帯」(2009~10年、フジテレビ系)や「24JAPAN」(20~21年、テレビ朝日系)、映画「九十歳。何がめでたい」(24年、前田哲監督)ほか出演多数。

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