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発達障害「グレーゾーン」とは 精神科医の岡田尊司さんに聞く

毎日新聞 / 2024年12月30日 6時30分

精神科医の岡田尊司さん=本人提供

 発達障害の認知度が高まり、発達障害ではないかと考え、受診する人が増えている。それに伴い、増加していると考えられているのが、診断には至らない「グレーゾーン」のケースだ。診断に至らなくても当事者は困難を抱えるが、その生きづらさは周囲には理解されにくい。著書に「発達障害『グレーゾーン』 その正しい理解と克服法」があり、臨床経験も豊富な精神科医の岡田尊司さんは「生きづらさの要因として発達の特性があるということを本人も周りも理解し、支援につなげていくことが重要だ」と話す。

健常者と競わされ、行き詰まり

 岡田さんによると、「グレーゾーン」は自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)といった発達障害の傾向は見られるが、診断基準に十分に該当しない場合をいう。比較的軽度で診断基準に達していない場合もあれば、診断基準の一部は満たすが、全ては満たさないという場合もある。

 例えば、精神疾患の国際的な診断基準「DSM―5」に基づくASDの診断では、「こだわり・執着」と「社会的コミュニケーションの障害」のどちらも満たす必要があるが、片方のみの場合は「グレーゾーン」とされる。

 「グレーゾーン」の人は特性により生活に支障が出ることもある。一方で、診断上は障害があるというレベルではないとされ、ある部分では能力が高い場合もあり、「健常者と競う立場に置かれることが多く、行き詰まりやすい。適応障害になるケースも多い」と岡田さんは話す。

診断有無で困難線引きできず

 学校では、診断があるかないかに関わらず、保護者が支援を希望する場合は、支援級という選択肢もある。ただ、岡田さんの実感では「グレーゾーン」の子どもは普通級でもやっていけるとの判断となり、支援級を希望することは少ない。学年が上がるにつれ、勉強が難しくなったり、高いコミュニケーション能力が求められたりするようになるため、高学年になって、つまずく児童が見られるという。「グレーゾーンの子どもは普通級で過ごすことが多いが、行き詰まっても、周囲の理解や配慮が得られにくいため、不登校に陥るケースも少なくない」と指摘する。

 発達障害の人の割合は人口の数%とされており、「グレーゾーン」の人はその数倍の規模でいると推定される。岡田さんは「特性は多様で、診断があるかないかで困難の有無は線引きできない。本人も周囲も特性を理解し、強みと弱点を把握するのが重要」とし、「カウンセリングや、不足している社会的スキルを高めるトレーニングなどの適切なサポートにつなげる必要がある」と話す。【宮島麻実】

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