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300年前、屋久島にイタリア人宣教師上陸 記念館設立へ募金活動

毎日新聞 / 2024年12月26日 15時30分

カトリック屋久島教会所蔵の「シドッティと藤兵衛、遭遇の図」(マウロ・モラレッティ作)。シドッティ(左)は羽織はかまに日本刀を身につけた武士の格好をしている

 日本が鎖国下にあった1708(宝永5)年に鹿児島県・屋久島に上陸したイタリア人宣教師、ジョバンニ・バッティスタ・シドッティ(1668~1714年)を顕彰する記念館をつくろうと、NPO法人「やくしま未来工房」=古居智子(ふるいともこ)理事長=が5000万円を目標に募金活動をしている。上陸地近くで2025年秋に着工し、26年秋にオープンさせたい考えだ。

 シドッティはイタリアのシチリア島・パレルモ出身で、ローマからフィリピンを経由して屋久島恋泊村(現屋久島町小島)の海岸に上陸。現地の村人・藤兵衛と交流するなどしたが、幕府に捕らえられて屋久島を離れた。江戸に送られたシドッティは世話役の日本人夫妻「長助・はる」を入信させたとして地下牢に移され、死去している。

 当時、ヨーロッパの学問を身につけたシドッティの尋問にあたったのが儒学者の新井白石だった。白石はそこで得た知識を基に海外情勢や地理などを記した「西洋紀聞」を著している。

 NPOがオープンを目指す記念館は、地元の木、土、しっくいで作る平屋約150平方メートル。交流スペース、カフェスペース、展示室を設け、完成済みの上陸地展望タワーと共にシドッティが屋久島に上陸した当時に思いをはせてもらう。

 展示室では、写真やイラストなどのパネル展示や映像を通じ、シドッティの生涯と歴史的背景を紹介する。美術工芸品や歴史資料なども展示する予定だ。

 2024年秋には鹿児島県の委託事業で、古居理事長が文を担当し、シドッティの絵本「屋久島シドッティ上陸物語」(日米伊仏の4カ国語版)を発行した。観光客に配り、館設置の機運向上を進める。

 古居理事長は「シドッティのレガシーを継承する場所は、上陸地である屋久島がふさわしい。記念館を、屋久島の新しい魅力の発信基地として、歴史と自然と人をつなぐ空間として構築したい」と話している。

 募金などの問い合わせはやくしま未来工房のホームページを通じてメールするか、同工房(0997・47・3206)へ。【梅山崇】

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