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「駅袋」からの脱却なるか 巻き返し図る「遅れた」副都心・池袋

毎日新聞 / 2025年1月2日 11時0分

現在の池袋駅東口。奥に延びるグリーン大通りに行くには、片側3車線の明治通りを渡らなければならない=豊島区で2024年12月13日午後0時11分、小林遥撮影

 国内有数の主要ターミナル・池袋駅(東京都豊島区)。乗り換え客が多く、駅直結の商業施設が充実しているために人の流れが駅の外へ及ばず、「駅袋(えきぶくろ)」とも呼ばれてきた。

 豊島区の試算によると、4社8路線が乗り入れる池袋駅は1日に260万人超が利用し、乗り換え客が4分の3を占める。残る4分の1の利用者も、駅の商業施設だけを訪れる人が少なくないという。

 そんな状況を変えて街に出る人を増やそうと、池袋では8地区で再開発事業が進行する。このうち、池袋駅西口で三つの高層複合ビルを造るプロジェクトは昨秋、都市計画決定された。

 最も高いビルは地上50階でホテルや商業施設、オフィスを誘致して駐車場を整備する。三つとも2030年代に着工し、全ての建設が終わるのは40年代となる見通しだ。

アート、カルチャーを重視

 池袋のある豊島区は14年、23区で唯一、民間シンクタンクから急激な人口減少が予測される「消滅可能性都市」に挙げられた。

 危機感を抱いた区は15年に「国際アート・カルチャー都市構想」を提唱し、文化や芸術を重視した街づくりに力を入れた。

 「東京芸術劇場」や「サンシャインシティ」といった既存施設の活用に加えて、駅東口の区旧庁舎跡地には「Hareza池袋」が誕生。映画館やホールなど劇場八つが集まり、マンガやアニメ、舞台芸術を発信する拠点になった。近くの南池袋公園は、芝生を敷き詰めてリニューアルした。

 東口の顔とも言える「西武池袋本店」は、改装して25年に順次開業する。百貨店の売り場面積は半分にし、残りはヨドバシホールディングスが運営する。

東西移動の円滑化が再生のカギ

 近年、街の景色が急速に変わる池袋。昨年12月、池袋駅東口で信号待ちをしていた男性(66)に街の印象を尋ねると、こんな声が返ってきた。

 「池袋には50年前から買い物に来ているけど、駅の東西が行き来しにくい。東口から街に出るにしても、信号待ちが長いからストレスが多いよ」。まだまだ、駅周辺での不便を感じているようだ。

 豊島区はこうした不満を解消すべく、2040年代の駅周辺の将来像を次のように描く。

 東口、西口ともに駅前は車両の通行を制限し、歩行者専用の広場を整備。東口では駅前の明治通りの車道を廃止し、東方のグリーン大通りまでを歩行者専用とする。

 駅周辺で分散しているバスとタクシー乗り場は集約し、東口は2カ所、西口は1カ所とする。さらに駅の東西の移動を円滑にするため、線路をまたぐ形で歩行者用デッキを二つ整備する計画だ。

 池袋は、同じ副都心の渋谷や新宿から再開発で後れを取ってきた。小沢丈博・都市基盤担当課長は「池袋駅の再生を進め、歩きやすく、歩きたくなる街にしていきたい」と語る。【小林遥】

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