1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

日本海6道県、海底活断層の地震と津波想定にズレ 被害過小評価恐れ

毎日新聞 / 2024年12月31日 5時0分

能登半島沖で撮影された海底の段差。能登半島地震でできた可能性がある=東京大大気海洋研究所提供

 日本海にある複数の海底活断層について、沿岸16道府県のうち6道県で地震と津波の震源の想定に違いがあることが、毎日新聞が各道府県に行ったアンケート調査で判明した。1月の能登半島地震ではこの海底活断層の一つが震源となったが、石川県が想定していたのは津波だけで、この震源が起こす地震は想定しておらず、被害想定が過小になっていた。他の自治体でも想定が食い違っている現状が浮き彫りになった。

 回答によると、各道府県が策定する地域防災計画で、日本海の海底活断層が起こす被害について「津波のみ」を想定していると答えたのは、秋田▽富山▽福岡▽長崎――の4県。北海道は「地震のみ」と回答し、津波の想定は今年度内に公表するとした。石川県は「両方を想定」と答えたが、地震については、津波を想定した活断層とは別の、より遠くにある海底活断層を震源として想定していた。

 国土交通省などは2014年、太平洋側に比べて遅れていた日本海側の津波被害想定のため、日本海沿岸にF01~F60の計60本の海底活断層があるとする調査結果を公表。このうち能登半島北部にある「F43断層」が、能登半島地震の震源になったとみられる。

 この調査を受け、沿岸道府県は海底活断層が起こす津波被害を地域防災計画に順次盛り込んだ。「最大クラスの津波被害を想定する」とする国の指針があったためだ。

 ところが、地震の揺れについてはこうした国の指針がなく、各道府県で対応が分かれた。新潟県や島根県など10府県は、これらの海底活断層が起こす地震の揺れの被害も含めて地域防災計画に盛り込んだが、5県は地震の揺れは反映していないとした。

 理由について、秋田県は「プレート境界型の地震を独自に想定している」と説明。長崎県は「過去の調査で活断層であることが確実なものを想定しており、この中に海底活断層は含まれていない」などと答えた。

 能登半島地震の教訓を踏まえ、6道県のうち、石川▽富山▽長崎――の3県は被害想定を「見直す」と回答。福岡県は「海域活断層の予備調査をしており、結果を踏まえて見直しを検討する」とした。

 防災に詳しい福和伸夫・名古屋大名誉教授(地震工学)は「地域防災計画の策定主体は都道府県であるため、それぞれの考え方に幅や温度差がある。想定が違ったり見直しが遅れたりすると、能登半島地震のように被害の過小評価につながりかねない」と指摘する。

 アンケートは12月に送付し、全16道府県から回答を得た。【酒造唯】

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください