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神社で相次ぐペット同伴の参拝禁止 背景に飼い主のマナー違反

毎日新聞 / 2024年12月31日 9時0分

2024年からペット立ち入り禁止となった福岡県内の神社の立て札=福岡県内で2024年8月9日午前11時28分、久野洋撮影

 ペット同伴の参拝を禁止する神社が相次いでいる。ペット連れの旅行が浸透する中で、境内での排せつといったマナー違反が目立つためだ。愛犬家らのSNS(ネット交流サービス)で同伴参拝が紹介されている神社でも、近年は禁止に転じているケースがある。初詣や旅行の際は、公式サイトなどで確認したほうがよさそうだ。

 神社などはもともと、信仰上の理由から盲導犬などを除き、動物の境内への立ち入りを禁じるケースが一般的だ。明治神宮(東京都)や伊勢神宮(三重県)はペットの立ち入りを認めておらず、伊勢神宮は入り口にペットの預かり施設もある。一方で、あえて禁止を打ち出さず、住民の散歩や観光客の同伴参拝を黙認してきた神社も少なくない。

 近年はペットの「家族化」で一緒に旅行やドライブを楽しむ飼い主が急増し、同伴宿泊できる旅館も増えている。愛犬などと参拝できる寺社を紹介するサイトがインターネット上にあり、SNSには参拝時に愛犬を写した写真があふれている。

 自然に囲まれた境内や、観光地の有名神社にペットの姿が増えた一方、目立つようになったのが排せつや鳴き声など、一部の飼い主のマナー違反だ。このため、受け入れ側も従来の対応を変えざるを得ない施設も出ている。

 狼をまつり、愛犬家に人気だった三峯神社(埼玉県)は、2019年にペットの境内立ち入りを禁じ、インターネットで話題になった。以降も、高原地帯に囲まれた霧島神宮(鹿児島県)や、鎮守の森の中にある水無瀬神宮(大阪府)など、各地の神社が続々とペットの制限に転じた。

 24年も、島全体が境内として知られる八百富神社(愛知県)などが禁止を表明した。多くは、公式サイトやSNSの公式アカウントなどでペットの制限を表明し、境内の入り口などにも看板を設置している。

 神社の神職らによると、多いのはふん尿のトラブルで、鳥居が尿で汚されたり、境内にふんが放置されたりといった悪質なケースもあるという。手水舎のひしゃくで犬に水を飲ませる飼い主や、ペットとの撮影で次の参拝客に迷惑をかけるというクレームも寄せられるようになった。

 神社関係者たちは「神聖な場所だと理解してほしい」と口々に訴え、「飼い主の方々にとってペットは家族。多くの飼い主はマナーを守るし、フンが残っていても私が片付ければ済む話だけど、他の参拝者から苦情がでたら制限せざるを得ない」と悩む神職もいた。

 「リードをつけていれば可」(島根県の出雲大社)など、24年12月時点で境内立ち入りを認める神社もまだあるが、参拝客からのクレームが増えれば先行きは不明だ。愛犬家には屋外での排せつトレーニングを済ませたり、マナーパンツを着用させたりして外出する人も多い。こうした人々からは「迷惑行為をする飼い主がいると、愛犬家の行動範囲はますます狭まる」との声も漏れる。【久野洋】

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